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セルフ・キャリアドックの導入で組織を活性化!具体的な手順と注意点を押さえましょう

現代の日本では、少子高齢化による労働力人口の減少や、働き方の多様性、予測困難なVUCA時代に直面しています。こうした状況下で企業が持続的に成長するためには、従業員一人ひとりが主体的にキャリアを形成し、その能力を最大限に発揮できる環境を整備することが不可欠です。

その有効な手段の一つとして注目されているのが「セルフ・キャリアドック」です。本記事では、セルフ・キャリアドックの基本的な概念から、導入のメリット・デメリット、具体的な導入方法、関連する助成金制度に至るまで、網羅的に解説します。この記事を通じて、セルフ・キャリアドックへの理解を深め、自社の人材育成戦略にお役立てください。

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セルフ・キャリアドックとは何か?

セルフ・キャリアドックという言葉を初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。一方で、この言葉は企業の人事担当者には既に広く知られている言葉であり、特に、人材育成上の課題解決の支援をする取り組みとして注目されています。
加えて、実は「キャリアドック」という言葉は、もともと私たち日本マンパワーが開発し、その後厚生労働省へ商標を譲渡しています。現在では国の施策にも取り入れられ、広く使われるようになっています。

本記事では、そんなキャリアドックのパイオニアとも言える弊社が、セルフ・キャリアドックの定義や関連する用語との違いから、導入のメリット・デメリット、さらに具体的な導入方法まで、分かりやすく解説します。

セルフ・キャリアドックの定義

セルフ・キャリアドックとは、企業が従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援するために、様々なキャリア研修やキャリアコンサルティング面談を組み合わせて、体系的・定期的に実施する総合的な取り組み、また、そのための企業内の「仕組み」のことです。「人間ドック」を年に1回受けるように、キャリアも定期的に振り返り、棚卸をし、今後進む方向を考えるという意味合いで「キャリアドック」という言葉を使っています。

つまり、従業員が年齢や役職の節目など、キャリアの転機において、キャリア研修や専門家であるキャリアコンサルタントとの対話を通じて自身のキャリアについて深く考え、将来の目標設定やその達成に向けた具体的な行動計画を立てることを支援するものです。企業の人材育成ビジョンや方針に基づいて設計され、従業員の自律的な成長を促すことを目的としています。

キャリアコンサルティングとの関連性を明確化

キャリアコンサルティングは、個人が抱えるキャリアに関する悩みや課題に対して、専門的な知識やスキルを持つキャリアコンサルタントが相談に応じ、自分自身が進みたい方向性を見つけ、行動を起こすための支援をするプロセスそのものを指します。

▶関連情報: キャリアコンサルタントとは?

一方、セルフ・キャリアドックは、このキャリアコンサルティングを主要なサポートとして含みつつ、キャリア研修や能力開発の機会提供など、より広範で体系的な「仕組み」や「制度」全体を指す概念です。つまり、キャリアコンサルティングはセルフ・キャリアドックの一つの要素だと位置づけられます。

▶引用:厚生労働省 キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント

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ジョブ・カードの活用とは

セルフ・キャリアドックを効果的に進める上で活用が推奨されるツールの一つに「ジョブ・カード」があります。ジョブ・カードとは、個人の職務経歴、学習歴、訓練歴、保有資格などを記録し、キャリアプランニングや職業能力証明に役立てるためのツールです。厚生労働省が様式を定めており、キャリアコンサルティングの場面で活用することで、従業員は自身の経験やスキルを客観的に振り返り、強みや価値観、今後のキャリアの方向性を明確にすることができます。これにより、より具体的で実効性のあるキャリアプランの策定支援につながります。

▶関連記事: ジョブ・カードとは?part1 基本情報について徹底解説! | キャリアコンサルタントLibrary | 

セルフ・キャリアドック導入のメリット

セルフ・キャリアドックを導入することは、企業と従業員の双方にとって多くの利点をもたらします。なぜなら、従業員の成長が企業の成長につながるという好循環を生み出す可能性があるからです。ここでは、具体的なメリットを企業側と従業員側の視点からそれぞれ詳しく見ていきましょう。

企業側のメリット:人材定着と組織活性化

企業がセルフ・キャリアドックを導入する大きなメリットの一つは、人材の定着促進と組織全体の活性化が期待できることです。従業員が企業から支援を受け、自身のキャリアプランについて将来の見通しを持つことができると、企業への「信頼感」や「帰属意識」が高まります。これにより、離職率の低下につながり、採用や再教育にかかるコストの削減も期待できます。また、従業員が主体的にキャリアを考える文化が醸成されると、社内のコミュニケーションが活発になったり、新しいアイデアが生まれやすくなったりするなど、組織全体の活性化にも貢献します。

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企業側のメリット:生産性の向上に貢献

セルフ・キャリアドックを通じて従業員のモチベーションやスキルが向上することは、企業全体の生産性向上に直結します。従業員自身のキャリア目標が明確になることで、意欲的に業務に取り組むことができるようになり、個々のパフォーマンスが向上します。

また、キャリア研修や面談を通じて得た新たな視点やスキルが業務に活かされ、業務効率の改善やイノベーションの創出につながることもあります。企業が従業員の成長を後押しする姿勢を示すことで、従業員の企業への信頼度が高まり、結果として組織全体の生産性向上という形で企業に還元されるのです。

従業員側のメリット:キャリアビジョンの明確化

従業員にとって、セルフ・キャリアドックは自身のキャリアビジョンを明確にする絶好の機会となります。日々の業務に追われていると、中長期的なキャリアについてじっくり考える時間はなかなか取れないものです。セルフ・キャリアドックでは、キャリア研修やキャリアコンサルタントとの面談を通じて、自身の興味、価値観、強み、弱みなどを客観的に見つめ直すことができます。これにより、将来どのようなキャリアを築きたいのか、そのために何が必要なのかといった具体的なキャリアプランを描きやすくなります。

従業員側のメリット:仕事へのモチベーション向上

自身のキャリアビジョンが明確になり、それに向かって企業が支援してくれるという実感は、従業員の仕事に対するモチベーションを大きく向上させます。目標が定まることで、日々の業務に対する目的意識が高まり、より主体的に仕事に取り組むことが出来るようになります。

また、キャリアアップのために必要なスキル習得に対しても積極的になり、自己成長への意欲も高まります。このような前向きな姿勢は、仕事の質の向上や新たな挑戦への意欲につながり、結果として仕事に対する満足感や働きがいを高めることにも貢献します。

セルフ・キャリアドック導入のデメリットと注意点

セルフ・キャリアドックは多くのメリットをもたらす一方で、導入や運用にあたってはいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。これらを事前に理解し、対策を講じることで、より効果的な制度運用が可能になります。ここでは、主なデメリットと注意点について解説します。

▶引用:厚生労働省「人材開発支援助成金」  人材開発支援助成金|厚生労働省

導入・運用コストの発生可能性

セルフ・キャリアドックを導入・運用するには、一定のコストが発生する可能性があります。例えば、外部のキャリアコンサルタントに委託する場合の費用、キャリア研修を実施するための教材費や講師料、社内担当者の人件費などが挙げられます。特に中小企業にとっては、これらのコストが負担となる場合もあるでしょう。予算を計画的に確保するとともに、助成金制度を活用したり、社員がキャリアコンサルタントの資格を取得して相談に対応するなど、コスト負担を軽減する工夫も必要です。

▶関連情報: キャリアコンサルタント養成講座説明会について詳しくはこちら

キャリアコンサルタント確保と質の維持

セルフ・キャリアドックの中核を担うキャリアコンサルタントの確保と、その質の維持は重要な課題です。社内に有資格者がいない場合は、外部に委託するか、社内で育成する必要があります。外部委託の場合は、自社の理念や人材育成方針を深く理解してくれるコンサルタントを選ぶことが重要です。社内で育成する場合は、資格取得支援だけでなく、継続的なスキルアップのための研修機会を提供し、面談の質を維持・向上させる努力が求められます。

セルフ・キャリアドックと関連する助成金制度

セルフ・キャリアドックの導入や運用にはコストが伴いますが、国が提供する助成金制度を活用することで、その負担を軽減できる場合があります。ここでは、代表的な助成金制度である「人材開発支援助成金」を中心に、その概要や活用時のポイントについて解説します。

人材開発支援助成金(制度導入コースなど)の概要

人材開発支援助成金は、事業主が従業員のキャリア形成を効果的に促進するため、職業訓練等の実施や、職業能力開発のための制度を導入した場合に、訓練経費や制度導入経費の一部等を助成するものです。この助成金にはいくつかのコースがあり、セルフ・キャリアドックに関連が深いのは、例えば「人材育成支援コース」の「制度導入コース(旧:キャリア形成支援制度導入コースなど)」のような、職業能力開発に関する制度を導入・実施する事業主を支援するものです。具体的な助成対象となる制度や助成額、要件は年度やコースによって変動するため、常に最新の情報を確認することが重要です。

▶引用:厚生労働省「人材開発支援助成金」  人材開発支援助成金|厚生労働省

助成金活用のための条件と申請手続き

助成金を受給するためには、定められた要件を満たし、適切な手続きを行う必要があります。一般的な要件としては、雇用保険の適用事業所であること、就業規則や労働協約にセルフ・キャリアドックに関する規定を設けること、計画に基づいたキャリアコンサルティングや研修を実施することなどが挙げられます。申請手続きは、管轄の労働局やハローワークに対して、計画書の提出、実施、支給申請という流れで進められることが一般的です。手続きには期限が設けられているため、早めに準備を開始し、不明な点は専門家や窓口に相談することが推奨されます。

まとめ

本記事では、セルフ・キャリアドックの定義から、導入のメリット・デメリット、そして関連する助成金制度に至るまで、幅広く解説しました。

現代の厳しい経営環境において、企業が持続的な成長を遂げるためには、従業員一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出し、主体的なキャリア形成を支援することが不可欠です。セルフ・キャリアドックは、そのための有効な仕組みであり、従業員のエンゲージメント向上、人材の定着、組織の活性化、そして生産性の向上に大きく貢献します。
導入と運用には計画的な準備と継続的な努力が必要ですが、企業と従業員双方にとって大きな価値をもたらす投資と言えるでしょう。

また、日本マンパワーではセルフ・キャリアドックの導入支援を行っています。人材開発にお悩みの経営者や人事担当者の方は、お気軽にお問い合わせください。

▶関連情報: セルフ・キャリアドック導入支援の概要はこちら

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