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コラムVol.4『セルフ・キャリアドックの進め方2』

目次(クリックすると目次が開きます)
  1. STEP2 実施計画の策定
  2. STEP3 組織内のインフラ整備/組織内意識の醸成
  3. STEP4 セルフ・キャリアドックの実施(キャリア研修/キャリアカウンセリングなど)
  4. STEP5 フォローアップ(結果報告/継続的改善など)

STEP2 実施計画の策定

皆様こんにちは。田中道博です。7回にわたるコラムの連載。今回は4回目です。今回は前回の続き、「セルフ・キャリアドックの進め方」(STEP2〜5)です。前回はSTEP1のみになりましたが、実はここが一番肝要だったりもします。経営者の決意と覚悟がなければ長続きしません。さて、今回は実務的なところとなりますが、スペースの関係もありエッセンスをお伝えしたいと思います。

■セルフ・キャリアドック導入のステップ

STEP1 経営者のコミットメント/人材育成ビジョン・方針の策定/組織内周知
STEP2 実施計画の策定
STEP3 組織内のインフラ整備/組織内意識の醸成
STEP4 セルフ・キャリアドックの実施(キャリア研修/キャリアカウンセリングなど)
STEP5 フォローアップ(結果報告/継続的改善など)

 
セルフキャリアドックステップ2
 

STEP2 実施計画の策定

セルフ・キャリアドックは行き当たりばったりでは効果を出すことが難しくなります。成果につなげるための仮説を立て、計画的に実施し、都度見直しを図る必要があります。セルフ・キャリアドックはキャリアカウンセリングとキャリア研修などとの組み合わせにより効果が出ると考えられます。その順序立てや開催頻度、対象者などは組織の事情によって異なるため、精査を行った上で決定することが必要です。

一方で実施した上で不具合があったり効果が見られなかったりする場合には、柔軟に見直しを加えていくことも想定しておくといいでしょう。最初から完璧を求めると第一歩が踏み出せなくなり、せっかくの取り組みが立ち消えになってしまうこともあります。
同時に必要な準備物(アセスメントツールやアンケート、インフォームドコンセントのための資料など)を用意しておくのもこの段階です。アセスメントやアンケートは、組織が求める情報を得られるかどうかとキャリア支援の専門家が「必要である」と考えるものとを合わせて検証し、最適なものを準備します。これも後に見直しになることを想定しておくとよいでしょう。

STEP3 組織内のインフラ整備/組織内意識の醸成

責任者を決め、必要に応じて社内規定を整備します。また、キャリアカウンセリングは守秘義務を前提に進められますので、物理的環境が必要となります。プライバシーが守られ、どのようなことでも話すことのできる環境があって有効に機能するものと言えます。インフラ整備として、この場所の設定も考えておくことをお勧めいたします。

そして何と言ってもキャリアコンサルタントの確保です。先ほど守秘義務のことに触れましたが、もう一つ大切なことは「多重関係」が生まれないかどうかです。
これはキャリアコンサルタントと相談者以外の関係を持った場合にはキャリアカウンセリングに少なからず影響があるために設けられた倫理的な要素の一つです。キャリアコンサルタント倫理綱領において多重関係は禁止されています。従って、利害関係があるかどうかや支援に影響があるかどうかを判断し、キャリアコンサルタントを選任する必要があるということになります。「上司と部下」「人事と従業員」「一緒に仕事をしたことがある人同士」などは要検討です。影響が懸念される場合は大事を取った方がいいでしょう。
大手企業の場合は独立した部門(キャリア支援室など)を設けることができ、実際に成果を生んでいる事例もあります。しかしながら中小企業においては、少なからず「知人同士」が生じる可能性があります。外部のキャリアコンサルタントに依頼するのが無難かと思います。導入時にはしっかりと検討してください。

次に必要なことは、社内への意識付けです。どのような目的で何が行われるのかを明確にしておくことで効果を上げることが期待できます。キャリアコンサルタントと対面して初めて「ところで何の時間ですか?」にならないようにしましょう。可能でしたら事前にキャリア研修を実施したり、説明会を開催したりと、何らかの準備があった方がいいでしょう。

STEP4 セルフ・キャリアドックの実施(キャリア研修/キャリアカウンセリングなど)

 
キャリアコンサルティング実施の目的
 

上記のような人的課題は複雑に混在しており、一筋縄では解決できないことは少なくありません。しかしながらまずは従業員の方のお話から「何が起こっているか」を知る手がかりを得ることが可能です。
キャリアコンサルタントはそれを知ることができる立場にあり、キャリアカウンセリングのあとに人的課題の改善や組織の活性化、生産性向上のために組織への働きかけを行うことを期待される専門家であるということになります。

キャリアカウンセリングを実施するにあたっての心がけやスキル等については今回省略いたしますが、キャリアカウンセリングにおいて従業員の方は、普段考えない自分自身のことに向き合い、自分を理解し、組織のビジョンを再認識し、自律的に自らの職業人生の道筋を描くこと、そしてその連鎖によって強固な組織をつくっていくことがセルフ・キャリアドックのひとつのゴールと言えます。

STEP5 フォローアップ(結果報告/継続的改善など)

セルフ・キャリアドックの実施報告、必要に応じた個々の従業員へのフォロー、組織の改善実施、セルフ・キャリアドックの継続的改善を進めます。実施報告に際しては、アンケート結果などとあわせ、キャリアコンサルタントが従業員の方の話を聴く中で認識した組織課題を報告します。
当然ながら守秘義務を遵守して進める必要があり、この点には十分配慮して報告が行われます。報告する内容・項目に決まりはありませんが、事前に実施責任者とキャリアコンサルタントとの間で共有しておく必要があります。

更なるフォローが必要な従業員の方には、会社との連携を打診し、守秘義務の例外として人事や実施責任者と課題解決に向けて取り組むケースもあります。メンタルヘルス上の課題を抱えている方、ハラスメントの問題があり会社として対処する必要のあるケースなどがそれに該当します。この場合でも一方的に進めず、当人の心情に配慮しつつ専門家としての視点も伝えながら丁寧に取り扱います。 更には組織において改善を要する事項が見えてきます。その解決のための働きかけを行うのもキャリアコンサルタントの役割と言えます。
ただし、キャリアコンサルタント自身の専門性の範囲内で提案を行うようにしましょう。社会保険労務士や中小企業診断士など他の専門家と連携して進めることもあります。しかし、多くの従業員の方の声を直接聴ける専門家はキャリアコンサルタントだけですので、将来の成長の方向性として組織課題の解決支援ができるようになった方がワンストップで役立つことが可能です。キャリアコンサルタントの方は参考にしてみてください。

最後に、STEP2のところでも申しましたが、セルフ・キャリアドックの取り組みについては常に柔軟な改善が必要です。定期的に見直しの機会を持つなど、PDCAを意識して進めましょう。

 
PDCAイメージ


 以上、今回は長くなってしまいました。セルフ・キャリアドック導入のSTEP2〜5を見てまいりました。いかがでしたでしょうか。次回は具体例を挙げてセルフ・キャリアドックの実際や効果について考えてみたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
 

著者紹介


田中 道博 (たなか みちひろ)

株式会社あしあとみらい研究所 代表取締役/(株)日本マンパワーキャリアコンサルタント養成講座インストラクター
 

大学卒業後、旅行会社に就職し営業畑を歩む。2001年人材サービス会社に転職し、生まれ育った大阪から香川県に移住。鳥がさえずり、田畑とため池に囲まれた田舎暮らしを楽しんでいる。2008年CDA資格を取得。キャリアカウンセリングの考え方をマネジメント実務に役立てるための独自メソッドを考案・検証し、2014年個人事業主として独立。その後2017年に「株式会社あしあとみらい研究所」を設立、代表取締役に就任する。主に企業領域におけるキャリア形成支援、人材育成支援、人事諸制度の設計及び運用支援に従事するほか、インストラクターとして国家資格キャリアコンサルタントの養成講座や更新講習等を担当している。


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