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1on1で話すことに困らない!効果的なテーマと具体的な進め方を解説

「1on1ミーティング、今週は何を話そうか…」
「部下との1on1、どうすればもっと有意義な時間にできるのだろう?」

多くのマネージャーやリーダーが、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。1on1ミーティングは、部下の成長を促し、信頼関係を築くための貴重な機会ですが、その効果を最大限に引き出すためには、何を話したら良いのか、迷う人も多いようです。この記事では、「1on1で話す事」に焦点を当て、ミーティングの基本的な目的から、具体的なテーマトーク例、そして「話すことがない」という状況を打破するための対処法まで、幅広く解説します。

1on1ミーティングとは?基本的な目的と効果

1on1ミーティング(ワンオンワンミーティング)とは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談のことです。近年、多くの企業で導入が進んでおり、人材育成や組織力強化の観点からその重要性が高まっています。単なる業務報告の場ではなく、部下の成長支援やキャリア形成、エンゲージメント向上など、多岐にわたる目的を持って実施されます。

1on1ミーティングの主な目的

1on1ミーティングが推奨される背景には、いくつかの重要な目的があります。

まず、部下の成長促進が挙げられます。部下が業務上の課題や抱えている悩みを共有し、上司がアドバイスやサポートを行うことで、部下のスキルアップや問題解決能力の向上が見込めます。

次に、エンゲージメント向上も大きな目的です。定期的な対話を通じて、部下が会社やチームに対して愛着や貢献意欲を高めることを目指します。

また、目標設定と進捗確認も目的の一つです。部下の目標設定をサポートし、その達成に向けた進捗状況を定期的に確認することで、適切な目標設定と継続的なフォローアップが成長を促します。

1on1ミーティングで得られる効果

適切に1on1ミーティングを実施することで、部下個人だけでなく、組織全体にも多くのメリットがもたらされます。

例えば、部下は自分の話を聞いてもらい、気にかけてもらえていると感じることで、仕事へのモチベーションが向上します。また、本音を言いやすい環境が作られることで、心理的安全性が醸成され、安心して業務に取り組めるようになります。こうした信頼関係の構築は上司との関係性を深めるとともに、会社へのエンゲージメントを高め、結果として優秀な人材の離職率を下げる効果も期待できます。

さらに、部下の話を聞き、個性に合わせた指導を行う過程で、上司自身のコミュニケーション能力やリーダーシップが高まるため、マネジメントスキルが向上することもメリットの一つです。そして、個々の従業員の成長とエンゲージメント向上は、結果として組織全体の活性化に繋がり、生産性向上やイノベーション創出も期待できるでしょう。

人事評価面談との明確な違い

1on1ミーティングと人事評価面談は、どちらも上司と部下が行う面談ですが、その目的や性質は大きく異なります。混同しないように、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

  1on1 ミーティング 人事評価面談
目的

部下の成長支援、課題解決、

信頼関係構築、動機づけ

期間内の業績評価、能力評価、

処遇決定(昇給・昇格など)

主役 部下 上司(評価者)が中心となることが多い
頻度 週に1回~月に1回程度(高頻度) 半年に1回~年に1回程度(低頻度)
雰囲気 オープンで話しやすい、対話形式

フォーマルで緊張感を伴う場合がある、

報告・通達形式になりがち

話題

業務進捗、課題、キャリア、

プライベートなど幅広く柔軟

評価期間の目標達成度、成果、

行動などが中心

時間 30分~60分程度 60分~90分程度

1on1ミーティングは、評価を主目的とせず、部下の「今と未来」に焦点を当てた継続的で部下が主役となるコミュニケーションの場です。一方、人事評価面談は、過去の実績に対する「評価とフィードバック」が中心であり、上司や会社の期待や評価、成果を出すためのふりかえりのとなることが多いです。この違いを認識し、1on1では評価的な視点を持ち込まず、部下が安心して話せる場づくりが大切になります。

1on1で話すべき代表的なテーマと具体例

1on1ミーティングを有意義なものにするためには、話すテーマの選定が重要です。ここでは、代表的なテーマと、それぞれのテーマでどのような話ができるかの具体例を紹介します。これらの例を参考に、部下の状況や関係性に合わせて調整してみてください。

部下の成長とキャリアに関するテーマ

部下の成長支援は1on1の重要な目的の一つであり、キャリアに関する対話は部下の長期的なモチベーション維持にも繋がります。

普段から、しっかりと部下の仕事ぶりやメンバー間のやりとりを見たり聞いたりしながら、「評価」の視点ではなく「この人は何を大切にしているのだろう?」「どういう点にこだわりを持って仕事をしているのだろう?」「誰のどんな姿に刺激を受けているのだろう?」などと部下への好意的な関心を持っておくことも大切です。

キャリアパスとスキルアップに関する話題では、「将来的に、どのような仕事に挑戦してみたいですか?」や「今後、どんなスキルを身につけていきたいと考えていますか?」といった質問で部下の意向を引き出すこともできます。

さらに、強みと弱み、成長幅に焦点を当てることも重要で、「〇〇さんは、△△の業務で特に力を発揮していると感じます。ご自身ではどう思いますか?」と強みを認識させつつしてもらいつつ、「今後さらに成長するために、どのような点を意識していきたいですか?」と内省を促す問いかけも有効です。

心身の健康とモチベーションに関するテーマ

部下が最高のパフォーマンスを発揮するためには、心身の健康が不可欠であり、モチベーションの維持も重要なテーマとなります。健康状態(身体・メンタル)について尋ねる際は、「最近、新たなプロジェクトで残業が多くなっているようですが、体調はどうですか?疲れは溜まっていませんか?」や「何かストレスを感じていることや、気になっていることはありますか?」のように、部下の状態を気遣う姿勢も大切です。

ワークライフバランスに関する話題では、「仕事とプライベートのバランスはうまく取れていますか?」や「最近の残業時間はどうですか?業務分担で見直せる点はあるでしょうか?」といった具体的な状況を確認する質問が考えられます。

健康やメンタルに関する話題はデリケートなため、部下が話しやすい雰囲気を作り、無理に聞き出そうとしない配慮が重要です。日頃から信頼関係を築き、部下にとって安心して相談できる存在であることを伝えましょう。

組織やチームに関するテーマ

部下の視点から見た「組織やチームの状況」が語られた時には、それは「部下自身の大切にしたいこと」の現れとして受け止めましょう。特に、不平や不満を耳にすると、チームを任されている上司としては自分の意見も伝えたくなるかもしれません。また、その場で改善案を話し合いたくなるかもしれません。しかし、1on1では、あくまでも主役は部下であることを意識してください。目的は部下の成長です。「どういう時にそう感じますか?」「そう感じる〇〇さんは、こういうことを大切にしているんですね」「〇〇さんとしては、どうなると良いと思っていますか?」と、あくまでも部下に焦点を当てて、部下が語りたいことを語れるように促してください。

その上で、今後のチームの改善や組織の雰囲気を良くするのヒントに繋がりそうなことは、別の時間を持って話し合うこともお勧めです。「今日は1on1でしたが、組織についての改善はとても大切だと思うので、別途組織やチームについて話し合う場を持ちませんか」などと、目的を仕切り直して設定することで、1on1のねらいが混乱したりぶれたりすることを避けることができます。

アイスブレイクとしての雑談テーマ

1on1の冒頭では、リラックスした雰囲気を作るために、アイスブレイクとして軽い雑談を取り入れるのが効果的です。例えば、週末の過ごし方や趣味について、「週末はどのように過ごされましたか?」や「最近何かハマっていることや、面白いことはありましたか?」と尋ねてみましょう。

また、最近のニュースや出来事に触れるのも良い方法で、「最近、何か気になるニュースはありましたか?」や季節の話題を出すのも良いでしょう。

業務に関する話だけでなく、プライベートな話題も取り入れることで部下の緊張が和らぎ、穏やかな雰囲気で話ができます。

雑談は長くなりすぎないように注意し、相手の反応を見ながら自然に本題に移行しましょう。プライベートな話題に深入りしすぎないよう、節度を保つことも重要です。

「1on1で話すことがない」状況への対処法

定期的に1on1を実施していると、「今日は何を話そうか…」「特に話すことが思い浮かばない」といった状況に陥ることがあります。このような「話すことがない」状態は、上司側、部下側双方の要因で起こり得ます。なぜなのか、ふりかえってみることも大切です。

話すことがないと感じる主な原因(上司側)

上司側が「話すことがない」と感じる場合、いくつかの原因が考えられます。一つは、1on1の目的意識の欠如です。目的やゴールが曖昧なため、何を話すべきか分からなくなってしまうことがあります。また、準備不足も大きな要因です。事前に部下のことを考えたり、把握したりする時間が取れていないと、話題に詰まりやすくなります。 さらに、傾聴スキルの不足も関係しています。部下の話を引き出す質問ができなかったり、一方的に話してしまったりすると、部下は話しにくさを感じてしまいます。そして、いつも同じような内容の繰り返しでマンネリ化し、新しい話題が見つからないというケースもあります。

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話すことがないと感じる主な原因(部下側)

部下側が「話すことがない」と感じる場合にも、いくつかの理由が考えられます。まず、上司への警戒心がある場合です。上司自身が思っているよりも、部下は上司の持つ影響力を感じています。ちょっとした言い方、ふとした態度、周囲からの情報によって、部下は上司を警戒している可能性があります。本音を話すことに抵抗があったり、何を話しても評価に繋がるのではないかと不安を感じていたりすると、口が重くなります。また、単純に何を話していいかわからないというケースもあります。1on1は比較的新しい施策です。目的やねらいが分からず、何を話すべきか、どんなことを期待されているのかが理解できていないのです。

上司ができる具体的な準備と工夫

「話すことがない」状況を避けるために、上司はいくつかの準備と工夫を心がけることが大切です。まず、事前共有は有効な手段です。1on1の数日前に1on1の目的や主な話題・テーマの例などを内容を部下に伝えておくことで、部下も事前に考える時間ができ、当日の会話がスムーズに進みます。次に、部下の状況を把握することも重要です。前回の1on1以降の部下の業務状況、成果、課題などを把握しておき、具体的な情報に基づいて質問することで、より深い対話が可能になります。

そして、過去の1on1を振り返ることも忘れてはいけません。前回の1on1で話した内容や、そこで出た課題の進捗などを確認することは、継続的なフォローアップとなり部下の信頼に繋がります。

当日の雰囲気作りとしては、ポジティブな話題を意識することが挙げられます。部下の小さな成長や努力を伝えることで、話しやすい雰囲気を作ることができます。

また、時には上司自身から情報を開示することも大切です。上司自身の経験談や考えていることを話すことで、相互理解が深まり、部下も話しやすくなることがあります。上司が自分の話をする際には、目的を意識しましょう。自慢話や、自分が上手く行ったからあなたも出来るはず、といった有能感を見せつけるような話題は逆効果です。「自分の苦労を分かってくれていない」と感じさせてしまいます。部下が上司を身近に感じられたり、ヒントを得られたりするよう、意識して自分の話をしましょう。

効果的な1on1にするための重要なポイント

1on1ミーティングを単なる雑談や業務報告で終わらせず、部下の成長と信頼関係の構築に繋げるためには、上司が意識すべきいくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえることで、1on1の質を格段に向上させることができます。

部下の本音を引き出す傾聴の技術

1on1の主役は部下です。上司は聞き役に徹し、部下の内なる声を引き出す「傾聴」を心がけましょう。具体的には、「はい」「ええ」「なるほど」といった適切な相槌とうなずきは、相手に「あなたの話をしっかり聞いていますよ」というメッセージを伝えます。単調にならないよう、バリエーションを持たせると良いでしょう。また、部下が話した内容の重要なポイントを繰り返したり、「つまり〇〇ということですね」と要約したりすることで、理解を深めるとともに、部下は「正しく理解してもらえた」と感じます。

部下が言葉に詰まったり、考えていたりする間の沈黙を恐れずに待つことも重要です。沈黙は、部下が考えを整理したり、本音を話す準備をしたりするための貴重な時間となります。さらに、視線を合わせる、身を乗り出して聞くなど、言葉以外の態度でも「聞いている」姿勢を示す非言語コミュニケーションも活用することが効果的です。

まとめ

1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に対話することで、部下の成長を支援し、強固な信頼関係を築くための非常に有効な手段です。この記事では、1on1で話すべきテーマの具体例から、話すことがない時の対処法、そして効果を高めるためのポイントまでを解説しました。

大切なのは、1on1を形式的な行事と捉えず、部下一人ひとりと真摯に向き合い、継続的にコミュニケーションを深めていくことです。

また、部下の話を傾聴する力をもっと伸ばしたい方には、体系的な知識と実践的なスキルの習得の機会をご紹介します。

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明日からの1on1ミーティングが、より実りあるものになることを願っています。

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