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My iris career

介護と転職ループによる自信のない人生

いしい かすみさん

プロフィール

大学卒業後、大手メーカーのSEとして就職。その後、結婚、IT関係の商社に転職後、管理職として働いていた30代の半ばに親の介護が始まる。親とは離れた場所に住んでいたこと、当時は介護に対しての会社の意識が低く、長期休暇が許されなかったため何度も転職を繰り返すことになった。自身が描いていたキャリアとは程遠い人生を送ることになる。現在はフルタイムで仕事をしながら、キャリアコンサルタントとして自分に何ができるかを模索している。


すべての経験を生かすために

仕事も結婚も順調だった30代に入ってすぐ、離れていた実家の母(50代)が要介護状態となりました。父は母よりも10歳年上で、まだ仕事を続けていたことや、それまで家のことを一切しない「昭和ヒトケタ」世代だったこと、外部からサポートを受けるためには様々な手続きや調査が必要で両親がそれを嫌ったことなどから母のことは家族で介護をするという選択をしました。男女雇用均等法が成立し、女性が社会に進出するのが当たり前となりつつあった時代です。

同級生や同期は結婚や出産をしても仕事を続けているのに自分は介護に追われ、転職と介護の繰り返しでした。家族はもちろん大事ですが、私のキャリア(人生)って一体何?と焦り落ち込むばかりの30代、40代でした。 ただ、私には一つの意地がありました。それは、  どんな状況になろうとも、どんな内容であったとしても仕事を続けることです。その結果、管理職も契約社員もパートも派遣も色々な立場を経験することができ、色々な会社・業種を見ることができました。こんな私の経験が役に立つ仕事ってなんだろう?そう考えた時にキャリアサルタント、という選択肢が自然と見えてきました。


自分の人生を見失う日々

私の母は専業主婦でした。母は幼稚園の先生になりたいという夢を叶えられなかったこともあってか、私が子供の頃から「これからは女の子も自分で食べていけるような仕事を身につけなさい」と言われ続けていました。                                                          実際に就職し、いざこれからという時にその母の介護によって自分の思い描いていた道が閉ざされてしまいました。その矛盾に私も母も傷つき、迷い、それでも前を向くしかない日々でした。 仕事中心で自分の人生を組み立てていた私は、仕事を離れなくてはならないとなった時に今後どういう生き方をすればいいんだろう…と考えさせられました。辞めることは簡単ですが、就職することは年齢的にどんどん難しくなってきます。焦燥感と絶望感にかられた30代、40代でした。


自分だけの虹を描くこと

キャリアコンサルタントの資格を取得しようと思ったのは、年齢と転職を重ねた私が社会に還元できることは何だろう?と考えた結果でした。 講座の中で、スーパーのライフキャリアレインボーを学んだ時、衝撃を受けました。私は人生というのは「子供」の次は「職業人」で 「親で」…と役割は順に移り変わっていくものと考えていました。また、キャリアというのは仕事でしか実現できないものだと思い込んでいました。それらが180度ひっくり返されたのです。 人が与えられている役割そのものがキャリアで、それはいくつかに分かれていても、その幅や長さは人それぞれで、何歳だからこう、これが終わったからこれ、というものではない。私は他の人が「職業人」として太い虹を描いている間、「子供」の役割としての虹を描いていたんだ・・・その気づきがあった時に、やっと自身の人生…介護を言い訳に転職ばかりしていた人生を俯瞰してみることができました。そして、今後の人生についても自分は色々な役割を持つことができて、その幅を広げるのも狭めるのも色を決めるのも自分自身。その絵こそが「自分らしさ」なんだという学びは今後の人生で大きな財産になりました。 誰しも自分の生き方や選択に自信を持てない時があります。 そんな時に背中を押すのではなくそっと手を携えて一緒に歩きだす…そんなキャリアコンサルタントになりたい、と思えるようになりました。


虹の向こう側

昨年、私は「子供」の役割を終えました。そのことはとても寂しく辛いことですが、キャリアコンサルタントの勉強をしたことで乗り越えることができたと思っています。思えば私の社会人人生は半分以上が親の介護と転職に追われ焦燥感まみれでした。 転機に立つたびに「自分が一番大事なことは何か」「何をしたら(しなかったら)後悔せずにすむか」と一人で考えて苦悩した日々。人と比べ、自分に欠けているところばかりを見て、胸を張って自分の人生を語れないことにコンプレックスを持っていました。しかし、キャリアコンサルタントの勉強をしたことで、「ありのままの自分」「見たくない自分」を認めることができ、自分の人生これで良かったんだ、自分が思っていたほど捨てたものじゃない、と初めて思うことができました。

「子供」の役割をきちんと全うできたこと。ライフキャリアレインボーでひときわ太く明るく輝いて、突然なくなってしまったこの部分は今後何度も見直して描きなおしていく私の人生の中でも大切な誇りであり、原動力になると信じています。



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