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My iris career「私らしさ」を集めたキャリアの図書館

My iris career

自分軸を大切にする

佐藤 直子さん

プロフィール

新卒でコンピュータメーカに就職し、会社員として10数年勤めた後、出産を経て数年間専業主婦として過ごす。その後、再就職するも、子育てを優先しパートで働くことを選択。子育てが終了したのを機に、かつて勤めていた会社に復帰。

1.仕事の楽しさとは次元の異なる子育ての楽しさ

新卒でメーカーに就職し、出張や残業が多い環境ながらも充実した日々でしたが、結婚5年目の出産を機に生活が一変しました。
妊娠中から具合が悪く、切迫早産で安静生活となり、仕事の優先度は一気に低下しました。
出産後は慢性的な睡眠不足に加え、授乳や寝かしつけといった慣れないお世話で体力的にきつかったものの、日ごとに成長する赤ちゃんとの生活は新鮮でした。
特に、わが子であっても自分とは全くの別人格である息子を前に、この子は何に興味があるのかをよく観察し、性質を尊重しようと思ったことを覚えています。
持病のために夜中に救急診療に頼ることも多く、少し大きくなれば怪我も増え、想定外の事態にも直面しましたが、その度に私自身も鍛えられて成長したように思います。
子育ては、私にとってそれまでの仕事の楽しさとは次元の異なるとても興味深い世界であり、大きな転機でした。


2.子育てと自分自身のキャリア

出産後は専業主婦をしていましたが、息子が小学生になったのを機に、働き始めました。
働きながらの子育ては、とにかく時間との戦いだったことを覚えています。
その影響もあり、1つの職場でずっと働き続けることはできませんでした。

まず、塾講師として働き始めました。
仕事柄、夜遅くなることが多いため、近所の実家で息子を預かってもらいました。
仕事が終わり迎えに行くと、既に寝ていることが多く、起こして連れて帰ることに罪悪感があり、長く勤めることはできませんでした。
その後、すぐに昼間の時間帯の仕事に転職しました。
自分の能力を活かせると思い選んだ仕事で、数年働き続けましたが、
三か月に一度の決算期には残業があり、帰宅が遅くなることにストレスを感じていました。
また、中学生になり運動部で頑張る息子は、怪我も多く、学校への送迎のために有休をほぼ使い切っていました。
今思えば、塾の送迎や、夜のお弁当作りなど、しなくてもよい家事もあったかもしれません。
ですが、その当時の私は、今しかできない子育ての時間を確保するために、ここでも仕事を辞める選択をしました。
そして、時間の融通が利くパートの仕事を始めました。
そんなある日、高校生になった息子から、「将来やりたいことが決まっていること」、「大学生になったら家を出ようと思っていること」を聞かされました。
自分で決めた人生を歩き始めた息子を前に、いつの間にか子育てが終了していたことに気がついた瞬間でした。
息子が自立した後、自分自身がどのようなキャリアを歩みたいか考えるタイミングが急にやってきて、とても迷いました。


3.キャリアコンサルタント養成講座を学んで気付いたこと

キャリアコンサルタント養成講座を受講したきっかけは、パートで塾講師していた時に、
生徒との対話を通して聴くことの大切さに気づき、傾聴に興味を持ったことでした。
養成講座の講義では、自分自身を振り返る時間が多くあり、仕事を辞めた当時のことについて考えました。
子どもとの時間を最優先にしたいという思いで辞めることを選択しましたが、改めて振り返ると、「まわりの声」も仕事を辞めるきっかけになっていたことに気がつきました。
親に「子どもがかわいそう」と言われたこと等、まわりの声にも影響を受け、
自分自身のキャリアのことは、考えないまま辞めることを選択していたと思います。
仕事を辞める前に養成講座を受講し、自分自身を見つめ直していたら、自分がどうしたいかを軸に、より良い選択ができていたかもしれません。


4.最後に

実は、子どもが自立した後のキャリアについて考えていた時に、退職した会社の同僚から「戻ってくる選択肢はないか」と誘われました。
辞めた当時は、職場に戻ることは絶対ないと思っていましたが、自分軸で今後どうしたいかを考えた結果、戻ることを選択しました。
未来は予測できないものであり、自分を取り巻く状況も変化しています。子育てが終わり、自分自身と改めて向き合い、以前の職場に戻れることは、私にとって新しい自分を活かして働く環境と前向きに捉えています。

また、子育てが終了した今思うことは、人生100年時代の中で子育てをする期間が意外と短いということです。子どもの心の成長は早く、刻々と変化していく中で、その時々を慈しみ、同時に子どもが独立した後の自分自身の人生を視野に入れておくことが大切だと思います。
養成講座で相談者を支援するために学習する理論は、自分自身を理解するうえでも役に立つことがたくさんありました。
内省を深めて自己理解が進んだことで、目の前の現象に振り回されずに、自分の内側から湧き出るもの、本当はどうしたいのかをより意識するようになりました。
これからも自分の心の声に耳を傾けながら、過ごしていきたいと思います。



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