子育てと仕事が両立出来ているのかどうかもわからずに目の前のことで精いっぱいだった２０年あまりの日々を過ごし、子育ても一段落、部下も出来、やりたいことも見えてきていた頃です。 当時、所属していた人事部で定年まで頑張るつもりでいた私に突然の異動命令。会社の意向に沿って異動先で一から頑張る気持ちにはなれず、気持ちの整理がつきませんでした。
キャリアコンサルタントとして副業を始めていたこともあり、思い切って退職し、定年後も自分らしく働くことを見据えて、キャリアコンサルタントとして独立してみたいという気持ちも芽生えてはいたものの、どちらにも決められず数年悩む日々が続きました。異動への理不尽さを感じながらも会社での立場や、これまで頑張ってきたこの会社で最後まで全うできなくて本当に良いのか、という思いもあり、どちらにも踏み出せない中途半端な自分に毎日モヤモヤしていました。

悩んだ結果、２５年近く勤めた会社を辞め、キャリアコンサルタントとして独立をすることを決心しました。就職や結婚、出産に並ぶくらい、私のキャリア（人生）の中での大きな転機であり、 役割も人間関係も生活も一変することとなりました。
これまでも異動は何度もしてきましたが、定年がみえてきて、自分のやりたいことも意識し始めていた時期の突然の異動はこれまでとは全く違う影響を私に与えたのだと思います。
退職を決心したものの、一緒に仕事をしてきた上司や同僚、部下、そして携わってきた仕事など、退職することはすべてを途中で放り投げるような気もして、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。だからこそ、なかなか上司にも周りにも伝えることが出来ませんでした。退職することを伝えて、周りはどう思うのか、本当に自分は後悔しないのか、独立して経済的にやっていけるのか、様々な不安でいっぱいだったことを今でも覚えています。悩む中で安心して相談できる仲間の存在や、子供たちもそれぞれ就職していたこと、これから先の自分自身のキャリアを考え直す時期にきていたこと、様々なことが私の背中を押してくれたと思います。

キャリアコンサルタント資格を取得したことは私のキャリア（人生）を大きく変えるきっかけとなりました。養成講座では、キャリアコンサルタントして必要な知識や理論を学ぶことはもちろん、その姿勢や心構えも仲間と一緒に学んでいきます。
また、受講中は自分自身のことを仲間に話し、自己理解を深めていく時間でもありました。普段は関わることがないような様々な業界、様々な職種、様々な年代の仲間と出会ったことで、自分自身の考え方や働き方などの視野が広がり、さらに自分を見つめなおし、何がやりたいのか、自分らしさとはどのようなことなのかを考える時間にもなりました。その時間があったからこそ、会社を退職し、独立する決心も出来たのだと思います。
養成講座で学んだ仲間とはみんな勉強熱心で、資格取得後も一緒に勉強会を開いたり、お互いの学びを共有したり、良い関係が続いています。共に資格を取得し、スタートラインに立った仲間と一緒だからこそ、対人支援職として役立ちたい、さらに学び続けなければという思いも強くなりました。このことも独立するという一歩を踏み出す力となりました。養成講座で学んだこと、そして、そこで出来た仲間は今でも私の大切な財産です。

現在は本当に変化の激しい時代で、私たちの周りの環境はどんどん変わっています。私自身、コロナ禍でさらにそれを実感する日々でした。だからこそ、環境に流されないよう自分を知ることは大切なことではないかと思います。キャリアコンサルタントの学びは様々な場面で活かされ、自分も周りの人もみんなが自分らしく生きられる、そんなお手伝いが出来る学びだと感じています。大人になって本気で学ぶことは難しくもあり、勇気がいることだと思いますが、私にとっては、大きな一歩を踏み出す勇気をくれた学びであり、仕事も含め私らしいキャリアに向かっていく力にもなりました。 私もまだまだ学びの途中ではありますが、大人になって本気で学ぶ楽しさをみなさんにも味わって頂きたいと思います。