活躍事例として、キャリアコンサルタント・CDAへインタビューした内容をご覧いただけます。
社労士が解説!Vol.4『障害者雇用 法定雇用率引き上げへ(前編)』
Instructor's Column
- 原 博子 氏
- キャリアコンサルタント・CDA [千葉県]
キャリアコンサルタント養成講座インストラクター(千葉県)
大学卒業後、不動産会社で勤務しつつ、シナリオライターとしても活動。退職後はシナリオライターとして独立したものの、結婚・出産を機に昼夜問わずの仕事であるライター業を継続することが困難になり、悩んだ末キャリアチェンジ。自宅近くの社会保険労務士事務所でパートをしつつ資格取得を目指し、社会保険労務士資格取得。その後、社労士として活動する中で、「組織もそこで働く人もHappyになること」を模索していたところ、キャリアコンサルタントの学びと出逢う。
現在は、労務管理コンサルタント・キャリアコンサルタントとして、企業や行政機関を中心に活動中。専門領域は「治療と仕事の両立支援」及び「障害者雇用」。
■令和6年より段階的に引き上げ〜法改正のスケジュールと内容〜
皆さん、こんにちは。原博子です。
今回のテーマは「障害者雇用」についてです。
障害者雇用率の段階的な引き上げ、除外率の引き下げなど、かなり大幅な改正があるところですので、今回と次回の2回にわたり、このテーマで書いていきたいと思います。
まずは法改正の全体像についてみていきましょう。
■法改正の全体像(概要)
●雇用率について
企業などに義務付けられている障害者雇用の法定雇用率が令和5年4月1日から、引き上げられることになっていました。
これは「障害者雇用促進法」という法律に基づき、少なくとも5年ごとに見
直されることになっているからです。
平成30年4月からの雇用率として設定されている現在の雇用率が5年を迎えた のが、令和5年4月。この見直しによって算出された雇用率は現在の2.3%から2.7%へ(国及び地方公共団体等は2.6%⇒3.0%。一部教育委員会は2.5%⇒2.9%へ)それぞれ引き上げられることになります。
しかし・・・これでは、かなりの負担が企業にのしかかります。そこで、緩和措置として、令和5年度は現在の雇用率を据え置き、令和6年度から段階的に引き上げることになりました。
●除外率の引き下げについて
障害者雇用が一般的に難しいとされている業種については、雇用する労働者を算定する際に、除外率に相当する労働者を控除する制度が設けられていますが、その除外率について、このたび10ポイントの引き下げが行われる予定です。
時期については、雇用率の引き上げ時期と重ならないよう、令和7年4月となります。
●特定短時間労働者の雇用率算定について
週の所定労働時間が特に短い(10時間以上20時間未満)の重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者については、特例的な取扱いとして、事業主が雇用した場合に、雇用率に算定できるようにします。
★雇用率制度における算定方法(赤字が措置予定の内容)
週所定労働時間 | 30H以上 | 20H以上30H未満 | 10H以上20H未満 |
身体障がい者 | 1 | 0.5 | - |
身体障がい者(重度) | 2 | 1 | 0.5 |
知的障がい者 | 1 | 0.5 | - |
知的障がい者(重度) | 2 | 1 | 0.5 |
精神障がい者 | 1 | 0.5※ | 0.5 |
※0.5でなく1とカウントする措置が、当分の間延長されています。
■法改正のスケジュールと内容
段階的に法改正が行われる予定ですので、その内容や時期を時系列でまとめてみました。
年度 | 法定雇用率 | 対象事業主の範囲 | 内容 |
R5.4 | 2.3% | 43.5人以上 | 雇用率据え置き |
R6.4 | 2.5% | 40.0人以上 | 特定短時間労働者の雇用率算定 |
R7.4 | 2.5% | 40.0人以上 | 除外率10ポイント引き下げ |
R8.7 | 2.7% | 37.5人以上 |
(参考):厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
このような流れで法改正が行われる予定ですが、これが報道されてからというもの、わたしの元には障害者雇用に携わっていらっしゃる方からの相談が増えてきました。