03-5294-5030

10:30~17:30
(木曜日・祝日を除く)

キャリアコンサルタント・CDAにインタビュー

人の力になりたいという気持ちが原動力!それが社会の役に立つのがキャリアコンサルタント資格です!!

活躍事例として、キャリアコンサルタント・CDAへインタビューした内容をご覧いただけます。

インタビュー一覧はこちら

社労士が解説!Vol.2『男性育休取得へ追い風!新制度「産後パパ育休」って?』

Instructor's Column

  • 原 博子 氏
  • キャリアコンサルタント・CDA [千葉県]

キャリアコンサルタント養成講座インストラクター(千葉県)

大学卒業後、不動産会社で勤務しつつ、シナリオライターとしても活動。退職後はシナリオライターとして独立したものの、結婚・出産を機に昼夜問わずの仕事であるライター業を継続することが困難になり、悩んだ末キャリアチェンジ。自宅近くの社会保険労務士事務所でパートをしつつ資格取得を目指し、社会保険労務士資格取得。その後、社労士として活動する中で、「組織もそこで働く人もHappyになること」を模索していたところ、キャリアコンサルタントの学びと出逢う。

現在は、労務管理コンサルタント・キャリアコンサルタントとして、企業や行政機関を中心に活動中。専門領域は「治療と仕事の両立支援」及び「障害者雇用」。

■はじめに

皆さん、こんにちは。原博子です。

わたしは、「組織も個人もHAPPYに」をモットーに社会保険労務士とキャリアコンサルタントの二足のワラジで活動しています。

労働法規関係の最近の法改正を解説しつつ、わたしが社労士としてキャリアコンサルタントとして日々を過ごしている中で感じ、考えていることを書いていきたいなぁ、と思ってスタートしたコラムの前回(第1回目)のテーマは「パワーハラスメント」についてでした。(初回からなんともハードなテーマでしたが、お読み頂いた皆さま、本当にありがとうございました!)

さて、コラム第2回目のテーマは、「男性育休」です。

このところ、メディアや駅や町中のポスターなどでこの言葉良く見かけると思いませんか?

その理由は令和4年10月1日に育児・介護休業法の改正が施行されるからです。
どのような法改正がされるのか、まずは見ていきましょう。

■産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

育児・介護休業法の改正により、さらに男性の育児休業が取得しやすくなります!

【改正のポイント】(令和4年10月1日施行)
●子どもが産まれた直後の時期に柔軟に育児休業が取得できるよう、「産後パパ育休」が創設されました。
●子の出生後8週間以内に4週間まで、2回に分割して取得できるようになります。
●産後パパ育休中に一部就業することもできます。(労使協定と個別合意が必要)
●1歳までの育児休業も、2回に分割して取得できるようになります。

https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/000977791.pdf

(厚生労働省「育児休業ミニリーフレット」より抜粋) 

■3段階の法改正

まずは、直近の改正内容について解説しましたが、実はこの育児・介護休業法の改正は令和4年4月から順次施行されています。以下のスケジュールにて、3段階で施行されていきます。

■男性育休〜Sさんとの出逢い〜

このように、男性育休をめぐる制度は整備されていっているのですが、それに比例して、男性から「育児休業を取得しようと思うんですが、その前に話を聴いてもらっていいですか?キャリアコンサルティングしてもらえませんか?」というような依頼を受ける機会が増えてきているようにわたしは感じています。

Sさんもそんな風にわたしに「キャリアコンサルティングをして欲しい」と相談があった企業にお勤めの30代の男性でした。(※個人が特定されないように配慮し、記載しております)

Sさんは、育休を取得することが決定し、Sさんの上司も同僚もそのサポート体制はバッチリといった状況にありました。
しかし、Sさんはどこか浮かない顔をしていました。

「何か気がかりなことがあるんですか?」

そのわたしの問いかけにSさんはうつむきがちに、こんな風に語り出しました。

「会社に迷惑をかけたくないから育休とることに迷いがあるんです」

自分が抜けた穴を誰かが埋めることへの抵抗感があり、そのことを考えると気持ちが憂鬱になる。

「妻が大変な状況なのもわかっているし、助けが必要なのもわかっています。でも・・・」

それからは「迷惑かけたくない」「同僚に負担をかけたくない」という言葉がSさんから繰り返し発せられました。

「そんなこと気にしなくていいよ」
「制度があるんだから堂々と使っていいんだから」

Sさんの上司の方は、そんな言葉をSさんにかけてくれたと言います。
しかし、Sさんの気持ちは一向に楽になりませんでした。どうしてだと思いますか?
 
「迷惑をかけたくないSさんはどんなSさんなのか?」「人に迷惑をかけたくないSさんのモノの見方、考え方」はどんなものなのか、ということに焦点をあててSさんのお話を聴いていきました。

すると、「人に負担をかけることは良くないこと」という思いがSさんにあることが見えてきました。
新入社員の時に、自分のミスが原因でチームの全員が残業になってしまい 、「もう二度とこんな風に自分のせいで周りに負担をかけないようにしよう」と誓った経験、さらには小学校の運動会のリレーのアンカーでバトンを落としてしまったせいで優勝を逃し、皆の落胆した姿を見て大泣きした経験などを思い出されました。

「自分が原因で他人に何か負担を強いてしまうこと、迷惑をかけること」に対して、それを避けようとする自身の気持ちにSさんがキャリアコンサルティングの中で気づいていかれたように思いました。

そして、Sさんがそうした自分自身について自問自答をしていく中で、今回の育休を取ることは、果たして本当に仲間に迷惑をかけることになるのか、と客観視していきました。

「そういえば・・・」

何かを思い出したように、Sさんがふと言葉にされました。

「後輩がわたしに言ってくれたんです。『Sさんが育休を取ってくれると僕たちも取りやすくなるなって』って」

その後は、Sさんは「今まで『育休とる⇒迷惑をかける』、という風に思っていたけれど、本当にそうなのかな?」とさらに内省を深めていきました。

「迷惑をかけることを恐れる自分がいることに気づいたら、今まで見えていなかったものに気づけた気がします」

Sさんはどこか安堵したような、そして穏やかな表情をしてそういいました。人は、モヤモヤしている時が一番つらいといいます。モヤモヤが自分のどんなモノの見方考え方が揺らいでいることによって起きているのかが見えてきた時、そんな自分を大切にしながら、どう進んでいこうか、現実課題にどう対応していこうか、が見えてくるのです。

「制度があるから使いなよ」
「遠慮することないよ。制度を使うのは従業員の権利なんだからさ」

このような言葉をかけてもらうだけでは、整理したり、問題解決できたりしないのが、「人間の心」というものではないでしょうか。男性育休が進んでいくのには、こんな人間の心へのアプローチが必要なのかも、と感じている今日この頃です。

今回も最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。
また次回お逢いしましょう!

インタビュー一覧はこちら