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キャリアコンサルタント・CDAにインタビュー

人の力になりたいという気持ちが原動力!それが社会の役に立つのがキャリアコンサルタント資格です!!

活躍事例として、キャリアコンサルタント・CDAへインタビューした内容をご覧いただけます。

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キャリアコンサルタント養成講座の歴史(2)~行政でのキャリアカウンセラー活用の動き(前)~

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  • 田中 稔哉 氏
  • 日本マンパワー会長 / キャリアコンサルティング協議会理事

所属先:日本マンパワー

メーカーで人事(採用・教育・労務・人事企画)業務に携わった後、コンサルティング会社にて新規事業開発、関連会社経営に従事。
就職氷河期の大学生の就職支援事業の立ち上げを経て、日本マンパワー入社。
日本マンパワーではキャリアカウンセラー(CDA)養成講座の開発、日本キャリア開発協会(JCDA)の設立、大学・高校向けキャリア教育プログラム開発、行政機関への雇用対策事業の提案・企画・運営、ジョブカフェのチーフカウンセラーなどの業務を経験し、現在は日本マンパワーの会長を務める。キャリアコンサルティング協議会理事

キャリアコンサルタント養成講座の歴史

〜キャリアカウンセラーが生まれた背景〜

現在、国家資格となったキャリアコンサルタント資格。実は、日本マンパワーが1999年に株式会社としては最初に「キャリアカウンセラー(CDA)養成講座」の募集を開始しています。なぜ、その当時キャリアカウンセラーに注目したのか、その背景に迫ります。

今回は、日本マンパワーの会長の田中稔哉さんにお話を伺いました。

2000年当時のキャリアカウンセラー養成講座の状況

 私は2000年の夏にキャリアカウンセラー(CDA)養成講座の開発、販促担当として日本マンパワーに入社しキャリアドック部(このころ既にこの名称の部門があったのです)に配属となりました。前の立野さんの記事にもあるように、当時は大企業のシニアが大量に解雇あるいは早期退職になり失業率は高止まりしている状況でした。

 入社した時にはすでに養成講座のテキストはできており、通信教育講座がスタートしていました。通学(スクーリング)講座は米国版の講座内容を日本の労働市場や雇用環境などの実情に合った内容にすべく、使用するレジメやワークシート、講師用マニュアルの開発が行われていました。そこで私が主に担当したのは、通学講座の中の自己理解の支援と就職支援の箇所です。私は初職の会社で人事の仕事を一通り経験しており、その後転職した会社で就職予備校を立ち上げたこともあったので適任だと思われたようです。デスクにはアメリカからの関連書籍やマニュアル類の原書が山積みになっていたのを覚えています。

キャリアカウンセラー(CDA)養成講座テキスト(2001年)


 当初、通学講座は東京と大阪の2か所で開講していました。東京で開講した第1回通学講座の運営スタッフをして、受講者の方とロールプレイをしたことを時々思い出します。その後も幾度となく講座の運営スタッフやオブザーブをしましたが、初回の講座のことをより鮮明に覚えているのは、自分の自己概念につながる記憶だからだと思います。その後名古屋、福岡、札幌、仙台、広島、そして全国へと展開していきました。

 開発だけでなく受講者募集の説明会も担当していました。当時は今以上に知られていないキャリアカウンセラーの養成講座であり、民間資格でもありましたので、集客には苦労しました。当社の営業部門ですら「売れる気がしない」という空気でしたので、開発から販売までを自部門で行っていたのです。講座の申込書を作るのも担当しましたが、経理など関係の部署から何か所も訂正が入り大変でした。入社したての自分にとっては会社の仕組みを知るいい機会になりました。

雇用対策としてのキャリアカウンセラーの活用

 キャリアカウンセラーを取り巻く状況が大きく変わったのは、不況で大企業が新卒の正社員採用を手控えたため、若者の失業率が上昇し、非正規社員として働く若者が急増したためです。政府は雇用対策に多額の予算を割くようになりました。

 省庁縦割りでなく複数の省庁が連携して若者自立挑戦プランが策定され、全国にジョブカフェができ、「どんな仕事に就いたらいいかわからない」「つきたい仕事はあるが求人がない」「そもそも働く意欲が出ない」など単なる人と職業のマッチングでない就職支援ができる人材が必要になったのです。

キャリア教育テキスト(2003年)


 ハローワークでも若者や働く母親などに特化した窓口ができ、キャリア支援者のニーズが高まりました。失業したシニアの受け皿になった面もあるかもしれません。国家資格にはなりませんでしたが、厚生労働省をはじめとする国の後押しもあり受講者の増加につながりました。

2004年からジョブカフェでの展開

 ジョブカフェはほぼ全都道府県にでき、その多くは民間に委託されました。当社も多くの自治体でジョブカフェの業務を受託し、多い時では17自治体の仕事に携わっていました。そこで働くキャリアカウンセラーをはじめとするスタッフも300人余りを雇用していました。

 この動きの中で私は、最初はキャリアドック部と行政事業を支援するキャリアセンター事業支援部を兼務し、のちにキャリアセンター事業支援部の専任になりました。現場でのキャリアカウンセリングはもとより、キャリアカウンセラーの採用、育成(研修、SV、事例検討など)で東奔西走の日々でした。当時まだまだキャリアカウンセリングを学んだ人は少なく、特に地方にはわずかしかいませんでした。またキャリアカウンセラーと言っても今以上に基本的なことしか学んでおらず、自己流での相談をする人も多かったのです。

 当社が受託したジョブカフェは地方が多かったので採用には苦労しました。立ち上げ時には現地でカウンセリングの人間観やコミュニケーションスタイルを持っている人を選んで採用しました。その人たちにキャリアカウンセラー養成講座を基本に、各ジョブカフェに必要な内容を加味した導入研修を受講してもらいました。

 したがって当社の事業で雇用したキャリアカウンセラーは全て当社のキャリアカウンセラー養成講座の受講者です。実務に入ってからキャリアカウンセラーからよく言われたのは、「迷ったとき、悩んだときには養成講座に立ち返ってどうすべきかを考えている」「養成講座での学びが自分の支えになっている」ということです。

講演中の様子

 後編に続く

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