活躍事例として、キャリアコンサルタント・CDAへインタビューした内容をご覧いただけます。
「わたしたちは何者か」 対話から立ち上がるキャリア支援の現在地と未来 日本キャリア開発協会 創立25周年記念大会 開催レポート
Event Report

- 日本マンパワーCDA事務局 氏
大会骨子
2025年12月20日、 公益社団法人 日本キャリア開発協会(以下、JCDA) は、創立25周年を記念する大会を、東京・池袋の帝京平成大学 池袋キャンパス 沖永記念ホールにて開催しました。
会場には、キャリアコンサルタント、教育関係者、企業の人事・人材開発担当者など、キャリア支援に関わる多様な実践者約300名が集い、JCDAのこれまでの歩みと、今後の社会におけるキャリア支援の役割について考える機会となりました。
本大会は、後援として厚生労働省、社会構想大学院大学、ならびに、株式会社日本マンパワーも協賛企業として本イベントに参加しました。
こちらではその模様を少しご案内します。(レポーター:日本マンパワーCDA事務局 五十嵐賢、白井健)
「キャリアとは何か」を問い続けてきた25年
大会のテーマは、
「わたしたちは『何者』か 何のために生きるのか ~社会の未来を共につくる~」 です。
冒頭では映像が投影されました。キャリアカウンセラー養成講座を事業化した背景や、バブルの崩壊や就職氷河期、少子高齢化や労働力不足など、様々な社会背景とともにキャリアカウンセリングのありようが変わりつつあること、そしてこれからどのように変わっていくのか一人ひとりに問いかけるようでした。
開会の挨拶では、JCDA理事長 佐々木 好(ささき よしみ)氏 が登壇しました。佐々木氏は、キャリアカウンセリングを、一人ひとりの人生と社会の関係性を問い続ける営みとして捉えてきたJCDAの姿勢を振り返り、25年という節目において、改めて対話の重要性を共有しました。
続いて、JCDA 会長の 立野 了嗣(たつの りょうじ)氏 が、「私が、事業を通して考えて来たこと」をテーマに登壇しました。立野氏は、キャリアカウンセリングを社会システムとして根づかせ、キャリアカウンセリングがあって当たり前の世の中をつくっていくこと必要性に言及し、将来的には義務教育、とりわけ中学校段階にキャリア教育、キャリアカウンセリングの視点を導入していく構想を語りました。
ワーク①:対話を通じた振り返り
講話後には、JCDA認定インストラクターであり、日本マンパワーキャリアコンサルタント養成講座の講師でもある 原 博子(はら ひろこ)氏 が進行を担当し、ワーク①が実施されました。
オープニング映像や理事長・会長の話の中で印象に残った点や、その理由について、3~4名のグループで振り返りを行い、参加者同士が対話を通じて気づきを共有する時間となりました。それぞれの心に残った点や視点の違いが表れていたのではないでしょうか。
実践者が語る、キャリア支援の「現場」と「背景」
パネルセッション①「私たちの取り組みとその背景にある物語」では、異なる領域でキャリア支援に携わる実践者が登壇しました。
- 坂口 洋 氏
学校法人三幸学園 さくら国際高等学校
法人キャリア教育部 部長 - 古川 明美 氏
NTTアドバンステクノロジ株式会社
HRエンゲージメント担当 - 松永 美佐寿(まつなが みさえ)氏
キャリア・ダイバーシティ専門相談員
坂口氏は、通信制高校におけるキャリア教育・相談支援の現場から、言葉・対話の大切さについて言及しました。
言葉は生徒を時に勇気づけ、時に傷つける道具になることを現場から学んできたからこそ、生徒が自身の勇気づけになる様な言葉に出会える様な場として、対話の機会をもっていること。その中で、生徒が自身の考えや思いを言葉にできる様に、時には沈黙を恐れずに「待つ」こと。また、生徒に寄り添った(伝わる)言葉選びができる様に努めることを日頃から意識していることとして語られました。
古川氏は、人事部門への異動をきっかけにキャリア支援に携わるようになった経緯を紹介しました。
キャリアカウンセリング、JCDAが提唱した理論である「経験代謝」について学ぶ中で、悩みは自分の中にある、これまでよしとしていたものの見方・考え方(自己概念)から生まれること。悩みはなくす・取り除くのではなく、そんなものの見方・考え方をもって頑張ってきた自分を受け容れ、認めていく過程で、悩みに対する自分なりの解決策が見出だせる様になった経験をされました。その様な経験をしたからこそ、現在支援にあたる中で、キャリアカウンセラー側から一方的に解決策を提示するのではなく、相談者自身で解決策を見出せる様にかかわることを大切にしていると語られました。
松永氏は、キャリアカウンセリングを活動の中心に据え、多様な背景を持つ人々に寄り添ってきた経験を語りました。
LGBTQの当事者を身近な人にもち、当事者の苦悩に対して何もできない自分、またそれを周囲に相談できない自分に苦しさを感じていました。その中でキャリアカウンセリング、「経験代謝」に出会い、学びを通じて、自分・そして社会に「拓く、拓いていく」ことを大切にする自分でありたい。そんな自分に気づくことができました。ありたい自分を自覚できると、それが自分を突き動かす原動力となり、LGBTQに係る学会や当事者のグループ活動への積極的な参加、参加を通じて当事者の現状や課題を理解すると共に、当事者支援者とのつながりを拓いていくことにつながりました。この様な経験やつながりが多様な背景を持つ人々へ支援する中での支えになっていると語られました。
セッションのモデレーターを務めたのは、株式会社日本マンパワー キャリアドック事業本部 本部長の 水野 みち です。
登壇者だけでなく、会場の参加者の声や思いも引き出しながら、「支援者自身も問い続ける存在である」こと、会場全体で「共に生きる」とは何なのかを考えていく場をつくりあげました。
「私の物語」に立ち返る時間
「私の物語 ~自分が動いたら何かが動いた~」と題したセッションが行われました。
登壇者は、
- 木村 晃一 氏(株式会社木村工業 代表取締役)
- 砂川 未夏 氏(キャンサー・キャリア 代表)
- 宮村 聡子 氏(一般財団法人キャリアカウンセリング・センター〈CCC〉代表理事)
それぞれが「キャリアカウンセラーとして、何のために生きるのか。」という問いに向き合い、自身と対話してきたこと。その中で見えてきた支援領域やテーマ、そして「ありたい自分」を原動力に「何かできるんじゃないか。」、「できることは何でもやる。」その様な気概で行動していく中で、その熱が伝播し、同じような志をもった仲間が集まってくる様になり、それが現在の活動へつながったことを共通して語られました。
また、病気と仕事の両立支援、震災被災者への支援、子どもの貧困問題への関与など、異なる領域でのそれぞれ実践が紹介される中で、キャリアカウンセリングが人の行動や選択を支える基盤となっていることが示されました。
続くワーク②では、ここまでの内容を踏まえ、自身が何を感じ、どのような問いを持ったのかを参加者同士で分かち合いました。それぞれの経験や立場から語られる言葉が、場に重なり合う時間となりました。
「共に生きる」とは何か――問いを共有する場
後半のパネルセッション②では、登壇者と会場参加者が対話形式で「共に生きるとは何か」をテーマに意見を交わしました。
多様性やエンゲージメント、組織と個人の関係性についてさまざまな視点が提示され、正解を導くのではなく、問いを持ち寄り共有するプロセスそのものが重視されました。
キャリア支援の未来へ
大会の締めくくりには、JCDA 特別顧問の 大原 良夫(おおはら よしお)氏 が登壇しました。
「自分は何者かと問われたとき、どのように答えるのか。それは肩書きではなく、生き方そのものである」と語り、ありたい自分に即して生き続けることの重要性が示されました。
おわりに
本大会は、個人の物語に耳を傾け、対話を通じて可能性をひらくことの意義を、改めて確認する機会となりました。
キャリア支援を一過性の施策ではなく、社会に根づく「文化」として捉えていくことの重要性を、多くの示唆とともに伝える一日となりました。



