イベントレポート

不本意な異動がキャリアコンサルティングを通じて糧になる〜ゲストによるストーリーテリングと参加者同士のダイアログ〜

株式会社日本マンパワーは、企業の抱える課題を一緒に考え、解決の糸口を探る場として「HRフェス」を開催しています。2017年はテーマの1つに「企業内キャリアコンサルティング」を取り挙げ、関連イベントを実施しました。

イベントでは、組織人であれば多くの方が経験する「予期せぬ異動や転機」に着目し、日本キャリア開発協会で発足した「組織内キャリア形成研究会」の調査内容紹介、ゲストによる事例紹介、参加者同士の対話セッションを行いました。また、株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリの柏弘樹氏のご協力のもと、『グラフィックレコーディング』の手法を用いて講演・対話内容を可視化。参加者が一体となって「キャリアコンサルティングの果たす役割」を考えられる場作りにも取り組みました。本レポートでは、イベント前半部(登壇者3名の講演)の内容をダイジェストでお伝えします。

第1部

「組織内キャリア形成研究会」成果報告

水野 みち
水野 みち (株式会社日本マンパワー  ソリューション企画部 専門部長)
【プロフィール】
国際基督教大学卒業。1998年より、日本マンパワーのキャリアカウンセリング事業に携わる。
2005年、米ペンシルバニア州立大学にて教育学修士を取得。
帰国後、プログラム開発、及びキャリア相談機能設置コンサルテーションを担当。
現在は、組織開発・企業内のキャリア支援に関する研究開発活動に従事。

環境変化が激しく、働き方も多様化する現代、人事に求められることは何か?

「自己概念の成長とパフォーマンス向上の関係図

2017年7月、日本キャリア開発協会から、組織内キャリア形成研究会の研究成果をまとめた報告書が発行されました。この組織内キャリア形成研究会、私もメンバーの一員として参画していましたので、今日は研究会の成果を、社会的な背景も踏まえつつご紹介します。(中略)

個人の働き方のスタイルや価値観、やりがいなどが多様化する中、従来のような一律対応では難しい状況が生まれています。企業が直面するさまざまな課題(「若手社員の早期離職」「メンタルヘルス不調」「ダイバーシティ対応」等)を見ても、これからの時代、個別支援がなおさら必要になってくるのではないでしょうか。

「組織内キャリア形成研究会」の調査から見えてきたこと

【セミナー風景】
※ JCDA「組織内キャリア形成研究会報告書」より抜粋

今回の組織内キャリア形成研究会の調査では、企業13社にご協力いただき、13名の方に「不本意な異動」を含むさまざまな「転機」の話と、そこからの自分自身を立て直していくプロセスをお聞きしました。語られた内容を質的分析を通してまとめたところ、「自己概念の成長とパフォーマンス向上の相関図」が見えてきました。

(中略)異動という自分が揺さぶられる経験を乗り越えるプロセスには、「自己概念」を見つけ、意味を感じる心理的変容がありました。これは、自分のありたい自分と、会社の求める期待とのすり合わせのプロセスとも言えます。
このプロセスを社員が辿れるように、ぜひキャリアコンサルティングをうまく活用いただければと思っています。

<イベントレポートの一部要約>

第2部

企業内キャリアコンサルティング〜異動はこれからのキャリアを考える GOOD TIMING〜

山田 昇 氏
山田 昇 氏 (CSS キャリアサポートSUN 代表)
【プロフィール】
1975年早稲田大学政治経済学部政治学科卒。同年サントリー株式会社入社。
酒類営業・営業部門研修企画等を経験の後、営業及び営業企画マネジャーを各拠点で歴任。
2006年キャリア開発部に異動し、翌年のキャリアサポート室開設から11年間社員のキャリア自律支援として個別相談・キャリアワークショップ企画実施等に従事。2017年9月再雇用任期満了にてサントリーホールディング社退社。同年10月個人事務所として<CSS キャリアサポートSUN>を設立。

サントリー株式会社 キャリアサポート室の活動

研修・カウンセリング実施に流れ

キャリアサポートSUNの山田です。私は、1975年にサントリー株式会社に入社し、同社で2007年に始まった「キャリアサポート室」に、開設準備も含め10年携わってまいりました。

同社は、キャリアサポート室立ち上げ以降、キャリア研修、キャリアコンサルティング、フォローアップの総合的な仕組みを、一歩一歩、ステップを踏みつつ確立してきました。

不本意な異動を経験された方への「5年後質問」

大きな環境変化を伴う異動があった従業員に「イベント型面談(キャリアコンサルティング)」を行う際、相談者の自己概念の成長と明確化のために「5年後質問」をすることがあります。

5年後、どの部署でどんな立場で仕事をしているか複数のパターンを書き出してもらうのですが、「どんな風に」働いていたいかは、実は、どのパターンでも同じような言葉が出てきます。どの部署・どの立場であっても、「どんな風に」のポイントは大きく一つに収斂してくるのです。

そして、キャリアコンサルタント側が「その『一緒に目標達成ができているリーダー』だったら、どの部署・どの立場でもできそうだね」とかえすと、相談者がふっと気づいた様子を見せます。

不本意な異動をされた方からは、「なぜ?どうして?どうしたら良いのか?」といった言葉がよく出てきます。それは、今の状況への拘りが強いからなのです。それを、少し先(5年後)に視点を移してもらうと、今の状況への拘りから脱却することができるのです。今しか見えていない人には、先を見てもらうことが非常に有効だと感じています。

第3部

「意味づけ」の、その先へ

酒井 章 氏
酒井 章 氏 (株式会社電通人事局次長 兼 電通ダイバーシティ・ラボ)
【プロフィール】
中央大学法学部卒。84年(昭和59年)入社。
クリエーティブ部門、営業部門を経て2004年よりシンガポール統括会社に駐在し、企業内大学を設立。
2011年帰任後、グローバル部門を経て、2014年より人事局において社員の自律的キャリア形成支援業務、組織開発業務を担当。2017年、汐留地区の企業・行政・NPOのコンソーシアム「LifeWorkS project Shiodome」を立ち上げ。

「キャリア自律力応援プログラム」で、
キャリアカウンセリングの持つ意味を知ってもらう

「自己概念の成長とパフォーマンス向上の関係図

電通では、「10年目にある分野でのプロフェッショナルになる」という教育を行っており、社員一人ひとりがプロフェッショナル意識を持ってキャリアを自律的に考え、積極的に進化していくためのサポートとして「キャリア自律力応援プログラム」を展開しています。

キャリア関連では、キャリアカウンセリングは必須となっています。

今、求められる企業内キャリアカウンセラーの役割とは?

企業内キャリアカウンセラー(コンサルタント)は、社員(個人)と組織だけでなく、「世界(社会)の変化」の声を聴く存在でも、なければならないのではないかとの課題意識が、最近自分の中にあります。

仕事には、「Must(社が求めること)」「Can(自分ができること)」「Will(自分がやりたいこと)」の3つの側面があり、3つの重なりを大きくする重要性が言われますが、これら全て包含する「環境察知力(See)」も必要なのではないでしょうか。
 不本意な異動の前提には会社のドラスティックな事業転換があり、ドラスティックな事業転換の前提には、現代の予想もしないような環境変化があります。こういった予想もしないような大きな環境変化を、高いところから全体を俯瞰することで察知する能力が、今、求められているように思います。

<イベントレポートの一部要約>

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