イベントレポート

自律集団を形成する対話手法

〜ワールド・カフェ 体験セミナー〜

Date:2011年7月22日

2011年7月22日(金)、日本マンパワーでは、社内の教育研修ご担当者様、組織変革を担う実務ご担当者様にお集まりいただき、「自律集団を形成する対話手法」をテーマに、ワールド・カフェをはじめとするホールシステム・アプローチの体験セミナーを開催いたしました。

以下にその内容を抜粋・要約してご紹介いたします。

大平 亮 氏

大平 亮
株式会社セールス技術研究コミュニティ (STSC) 
チーフパフォーマンスコンサルタント

外資系生保支社管理職を経てSTSC入社。ホールシステム・アプローチを取り入れた、アクションラーニングやチーム学習のしくみづくりで成果をあげ、生命保険会社の研修・コンサルティングを中心に活躍中。

チェックイン

これから皆さんとワールド・カフェならびにホールシステム・アプローチの体験を一緒にしていきたいと思います。

まず、チェックインをやっていただきます。チェックインとは、参加者間のコミュニケーションの質を高め、より良い学習が起こるように「簡単な自己紹介」「セミナーに参加したきっかけや目的」などを共有して、ミーティングをスタートするためのものです。
それでは、準備のできた方から簡単な自己紹介をお一人1分程度でお話しください。発言が終わりましたら、「小さな拍手」をしていただけますでしょうか。この小さな拍手というのは、「ちゃんと聞いてましたよ」という合図をするものです。
そしてその後に、付箋に「参加した目的」をお書きいただき、発表してお互いに共有をしてください。

各グループで自己紹介が行われた後、セミナーに参加した目的を共有しました。

ポジティブアプローチ

組織の改善や変革にあたっては、トップが強烈なリーダーシップを発揮して、トップダウンで方向性を指示し、選抜したメンバーによる組織横断的なチームで推進していくというスタイルが、これまでは一般的でした。しかしこの場合、一部の当事者の意識や主体性は高まりますが、周囲のメンバーはやらされ感に陥り、主体性やモチベーションが高まらないということが起きがちです。
そこで、関係者全員が一堂に介し、全員参加の話し合いを行うコミュニケーション手法が試みられ始めています。組織の全員が話し、全員が話を聞くことで、組織全体としての主体性が高められます。すべてのステークホルダーが情報をオープンにすることで、全体のシステムを一度に把握することができます。また、変化に呼応した迅速かつタイムリーな意思決定ができ、細かい指示やコントロールなしに、自律的な問題解決や創造的アクションが可能となります。このような進め方をホールシステム・アプローチと呼んでいます。大規模なダイアローグ(対話手法)の総称です。
ホールシステム・アプローチの前提には、ポジティブアプローチの考え方があります。これは、強みや価値を発見し、最高の可能性をビジョニングし、どうありたいかを共有し、意味を明確化しながら、未来に向けて踏み出す一歩と覚悟を生み出していくというやり方で、「組織は無限大の可能性を包含しているものだ」という考え方から成っています。組織の欠陥や弱みに注目して解決策を練る問題解決型の手法(ギャップアプローチ)とは異なる考え方・枠組みに基づいている点が特徴的です。
ホールシステム・アプローチの代表的な手法には、ワールド・カフェ、A.I.(アプリシエイティブ・インクワイアリー)、OST(オープンスペーステクノロジー)、フューチャーサーチなどが挙げられます。
本日はこのうち、ワールド・カフェ体験と、A.I.の中のインタビューというセッションを体験していただきたいと思います。

ワールド・カフェとは

対話手法の中でワールド・カフェの位置付けをお話しします。
対話の仕方には、相手を打ち負かすディベート、結論を出すためのディスカッション、お互いに探求したり共有したりするダイアローグなどがあります。
ダイアローグとは、「参加者が自分の立場や見解に固執することなく、そのときどきのテーマを共に探求するプロセス」で、人々の間を自由に意味が流れるようなコミュニケーション方法のことを指しています。構造化した手法を用いなければ、ダイアローグが成り立つのはせいぜい20人ぐらいまでです。そこで登場したのがワールド・カフェです。
ワールド・カフェは数十人から数百人単位で対話ができる手法で、たいへんとっつきやすい手法だと思います。準備も非常に簡単です。
また、ワールド・カフェは「創発を実現するアプローチ」だと言われています。創発とは、火にかけた鍋のようなイメージで、沸騰してボコボコと泡が出ているような状態を指します。ワールド・カフェによって、この創発を体験することができます。

A.I.の進め方

A.I.というのはディスカバリー、ドリーム、デザイン、デスティニーという4つのDを回していきます。これは4Dサイクルと呼ばれています。今日みなさんに体験いただいたインタビューはディスカバリーです。「そのもの“What is”の真価を見つける」というセッションです。
そしてこの後に、「どうなれるか」という、自分の強みを発揮していった時、「どんな将来が描けるか」と展開し、実際にオブジェにしてみたり、寸劇にして表現したりします。こういったプログラムを回していって、チームや組織全体の方向性、1年後に自分がどうなっていたいかというようなことを作り上げていき、アクションプランに落としていくというプログラムです。

ホールシステム・アプローチの推進

それでは、ホールシステム・アプローチについてまとめをお話しします。
ホールシステム・アプローチのメリットはいくつか挙げられます。「数人の組織から数千人の組織まで対応が可能」「組織のコミュニケーションが劇的に向上する」「数日の研修にもかかわらず長期にわたって効果が持続する」「コストが安い」「どのような組織にも導入が可能」などが挙げられます。
ただ、課題もあり、社内での実施に際しての提案が難しい、という点があります。既知の概念と異なるので説明が難しく、「じゃあそれで儲かるのか?」という質問には答えようがありません。「すぐに成果が出るか」「結果が出るか」ということになると、「〜〜までに出ます」という断言はしづらいですね。また、成果の上がるステップが既知の手法と異なるので、実施にあたっては経営層の巻き込みが必要となってきます。

そこで、望ましい展開方法としては、まず推進チームを作り、ミーティングを1〜2日かけて「どんなふうにしていこうか」「どんなテーマでやっていこうか」とテーマを考えます。
そしてホールシステム・アプローチを実施します。この時、「こんな会議をやりたいと思っていますので、ぜひ参加してください」というような招待状を出します。指示命令にしてしまうとぶち壊す人が入ってくる可能性がありますので、まずは参加したいという人で回していきます。
その上でフォローを行い、実際に参加した人たちの具体的な成果を発見していきます。ここでは売上だけでなく業務時間の短縮などの成果も表れてきます。そういった変化をどんどん発見していきます。そして、「あれをやると上手くいきそうだ」という形になると、周りの人たちが興味を持って参加していき、雪だるま方式の展開となります。そうしながら推進チームを拡大し、雪だるまを大きくしていくというのがコツだと思います。

進め方の留意点としては、イベントにしないことです。というのは、このアプローチ自体が楽しく居心地がいいために、遊びのような感覚で終わってしまうことがあるのです。1回で終わってしまうと十分な効果が出ないので、継続できる仕組みを作っていく必要があります。
ですから、心から推進に熱心なメンバーで推進チームを作り、これを核にしてやっていくのが望ましいと思います。最初は、できればコンサルタントのような第三者を入れて回していくのがいいでしょう。いきなり内部で行うと、小さな枠にはまってしまったり、上意下達の形になったりします。そうすると、ホールシステム・アプローチであるにもかかわらず「やらされ感」が出てしまいますので、最初は第三者を入れてファシリテーションをしてもらいながら、徐々に内製化していくというのが、手順としてよろしいかと思います。

それでは、ホールシステム・アプローチをどのように活用できるか、今の段階で結構ですので、お手元の付箋を使って3つ挙げてください。そして、グループ内で発表していっていただければと思います。

みなさん各々付箋に活用案を書き込み、付箋を模造紙に貼って、各グループ内で発表がなされました。

ワールド・カフェを回していくと、一つのテーマに対する全体の意識が集約され、一つの方向性を持つようになっていきます。そこで他のホールシステム・アプローチの手法を取り混ぜていくことで、組織の変革や新しい組織の方向性、チームの一体感、ビジョンの構築などに役立てることができると思います。ぜひこの機会に、ホールシステム・アプローチにご興味・ご関心をお持ちいただければと思います。

<一部抜粋。完全版は資料ダウンロードより入手できます>

ワールド・カフェとは?

Juanita Brown(アニータ・ブラウン)氏と David Isaacs(デイビッド・アイザックス)氏によって、1995年に開発・提唱されたものであり、「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考え方と対話の手法に基づいた話し合いの手法です。

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