イベントレポート

“新入社員の育成”をテーマに“本音”で語り合いませんか?

新入社員のキャリア観から考える「育成」とは

Date:2011年6月21日〜7月14日

日本マンパワーでは、「“新入社員の育成”をテーマに“本音”で語り合いませんか?」と題したイベントを全国6会場で開催し、延べ約200名の方にご参加いただきました。

本イベントでは、第1部で「新入社員意識調査2011」の結果についてご報告させていただいた上で、第2部においてワールド・カフェ形式で新入社員の育成について語り合っていただきました。

以下にその内容を抜粋・要約してご紹介いたします。

日時・会場

開催スケジュールのご案内

第1部 情報提供

新入社員のキャリア観から考える「育成」とは 〜「新入社員意識調査2011」の結果(速報版)より〜

依田哲司

依田 哲司
株式会社日本マンパワー
CDAプロジェクト調査チーム
コンサルタント

調査の実施概要

弊社が今年度実施した「新入社員意識調査」について、その結果と、「新入社員にいかに輝いて働いてもらうか」、そのために「人事としてどのようなポイントを押さえていったらいいか」といった点につきまして、若干の提言を含めてお話をさせていただければと思います。
話の構成としましては、大きく2つになります。まず、調査自体のフレームです。どのように調査を実施したかについてお話しいたします。そして次に、各設問に関する結果について、新入社員育成のヒントになりそうなテーマに絞ってご紹介できればと思います。

最初に調査フレームについてご紹介いたします。
実施目的は、本年度に入社された新入社員の仕事やキャリアへの意識や価値観などについて、特徴や傾向を把握することとしています。
調査の対象は、弊社がお手伝いした新入社員研修実施企業の参加者と、今回の趣旨にご賛同いただいた企業の新入社員、そして、弊社の新入社員向け公開コースに参加いただいた企業の参加者になります。最終的な回答者数は6,282人です。
調査期間は2011年の3月から5月までですが、本日ご紹介する数値は4月末までの速報版データを使っています。

5年後の理想像と仕事への期待

今回の調査で、新入社員には仕事に対する期待がある反面、不安もあるとの結果が出ました。また、「自分のキャリアについて相談しやすい有名人は?」の設問に対して、「イチロー」が第1位で17.6%でした。理由として「グローバルに活躍」「努力の人」「ストイック」というキーワードが出ています。

グラフ:期待と不安

次に、キャリアビジョンについて深掘りする設問・回答のデータをご紹介いたします。
「自分が理想とする5年後の自分像はありますか?」という設問では、約8割が「ある」と答えています。「ある」と回答した新入社員のうち、「(5年後の自分像について)どの程度実現できますか?」という設問では、「必ず実現する」あるいは「実現できるだろう」という新入社員が約6割でした。
自分の理想の自分像が「ある」と答えた社員と「ない」と答えた社員との比較では、「ある」と答えた社員の方が、「ない」と答えた社員よりも、仕事への期待が高いという結果が出ました。ビジョンをしっかりと持っている社員は、仕事に対して「がんばっていくぞ」という期待値も高いということがわかります。
グラフ:キャリアビジョンの有無と仕事への期待同様に、キャリアビジョンに対して「(5年後の)担当している仕事」あるいは「なぜそうなりたいのかという理由」までが明確な社員は、明確でない社員に比べて、仕事への期待値が高いということもわかりました。

また、キャリアビジョンの実現可能性を「必ず実現する」あるいは「できるだろう」と答えた社員も、仕事への期待が高いという結果でした。
以上が、5年後の理想像についての回答結果ですが、キャリアビジョンの実現可能性を高いとしている社員、キャリアビジョンについて仕事の内容や能力まで明確になっている社員は、仕事への期待も高く、非常にワクワクしながら今後の社会人生活に臨んでいきたいとしている様子が見えます。

新入社員の不安

それでは、新入社員が持っているキャリアビジョンというのは、そもそもどのようなものなのでしょうか。配属後に現実像と理想像とにギャップが訪れてリアリティ・ショックを受けるケースも出てきますので、そのあたりの提言とポイントという点でご紹介します。
まず、「新入社員の不安」はかなり高く、「何に対する不安でしょうか?」という設問には、「自分の能力不足」「自分があげる成果」「仕事での失敗」「職場の人間関係」について、「あてはまる」「少しあてはまる」とした社員が5割以上でした。不安解消に向けた方策として、現場の皆さんができること、人事の皆さんができることという点で、能力不足を補うようなスキルアップが必要になるのは当然かもしれません。
また、「入社3年以内に身につけたい知識やスキル、能力は何ですか?」という問いには、第1位が「仕事の基本的な進め方やルール(79.1%)」、第2位が「ビジネスマナー(77.9%)」、第3位が「専門的知識・技術(74.1%)」でした。

新入社員が考える、働くうえでの価値観

「働くうえで、あなたが大事にしたい価値観を選んでください」という設問には、第1位が「人の役に立てること(26.9%)」、第2位が「自分の望む生き方ができること(17.5%)」、第3位が「達成感を得ること(11.3%)」という回答結果でした。
この価値観の選択肢は、米国のキャリカウンセリングの理論家であるドナルド・E・スーパーの考え方から作っています。この項目については、昨年も同様に調査していますが、「人の役に立てること」では5.8ポイント伸びています。

グラフ:最も大事な価値観

この点について、新入社員がすぐに人の役に立つ、というのは、なかなか難しいことかもしれません。けれども、少しずつ小さな達成感からでも感じてもらう、実現させてあげるという点がポイントになるのだろうと思います。
バックワード・チェイニングという人材育成の方法論をご存知でしょうか?仕事のプロセスはいくつかの工程から成り立っていますが、どちらかというと後工程の方がハードルが低く、後工程からひとつひとつやってもらう。それがうまくできたら、徐々に前工程もやってもらう。そういった小さな経験を積み重ねて成功体験を積ませるということもポイントになるかもしれません。

本日のサマリー

以上、「新入社員には理想と現実のギャップがいずれは訪れます」という点を1つ目のポイントとしてご紹介させていただきました。2つ目は、「能力・成果・失敗に不安を抱えている新入社員が多い」という点。そして3つ目が、「新入社員は人の役に立ちたい、能力を発揮したいと思っている」という点でした。
皆さんの会社の新入社員はどうでしょうか?次のセッションで、今年の新入社員をどのように育てていけばいいのかについて、議論していただければと思います。

<一部抜粋。完全版は資料ダウンロードより入手できます>

第2部 ワールド・カフェ

ワールド・カフェ 新入社員の育成方法について考える

秋本 暢哉

秋本 暢哉
株式会社日本マンパワー
コンサルタント

オープンな雰囲気を作る自己紹介

ワールド・カフェでは、まず自己紹介タイムを設けています。オープンな場にできればと思いますので、企業名・組織名・お名前とともに、「私、実は○○なんです」ということをお話しください。たとえば、「私、実は最近鉄道にハマっているんです」「私、実は毎日片道3時間かけて通勤しているんです」などで結構です。マイブームや趣味でもいいですし、告白のような内容でも構いません。右側先頭の方から時計回りに、1人30秒を目途に自己紹介をしていただければと思います。

席次は、6人が1グループとなって、国名が付けられたテーブルを囲んでいます。
そのグループ内で順番に自己紹介を行いました。時には笑い声も飛び交い、それまで静かだった会場の雰囲気が和みます。

ワールド・カフェの概要と導入理由

ワールド・カフェは、1995年にアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスが開発したもので、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、テーマに集中した会話を行うダイアログの手法です。ダイアログとは、心を1つにして行動できるようにするための会話です。メンバーの組み合わせを変えながらグループで話し合いを続けることで、次の3つの効果が得られます。

 (1)あたかも参加者全員で話し合っているような効果が得られる
 (2)参加者のアイディアがつながりあって、新しいアイディアや気付きが得られる
 (3)重要な課題についての協調的思考能力を向上させることができる

最近では、多くの企業やNPOなどの組織で、教育研修、組織変革、ビジョン策定、社内コミュニケーションの活性化などに、ワールド・カフェが幅広く使われてきています。その導入理由としては、次のようなものがあります。

 ・組織や専門分野の枠を超えた相互理解や協力関係を築きたい
 ・新しいプロジェクトをスタートさせるにあたり、協力的で意欲にあふれるチームを作りたい
 ・全員が納得して行動を起こすことができるようにしたい
 ・トップダウンでもボトムアップでもない意思決定や合意形成をしたい

ワールド・カフェ体験

では、全体セッションに移ります。「今日、気が付いたこと、発見したこと」「私もしくは私たちが、明日から踏み出すはじめの一歩」「皆さんに話していきたいこと」などを、全員でシェアしたいと思います。

5人の参加者から発表が行われました。

マサチューセッツ工科大学、ダニエル・キム教授は、「成功の循環モデル」の提唱をされています。個人・組織の「結果の質」を高めていくためには、遠回りのようでも、良いコミュニケーション、連帯感、つながり、相互信頼といった「関係の質」がポイントになるという話です。
しかし、新入社員の研修は、だいたい「行動の質」「思考の質」に焦点が当たっています。ただ、職場で人が育つことを大前提とすると、新入社員の育成に「関係の質」がすごく大きな影響を与えるのではないかと思っております。今回体験いただいたワールド・カフェは、「関係の質」をあげていくための1つの手法となりますので、ぜひご活用いただければと思います。

<一部抜粋。完全版は資料ダウンロードより入手できます>