ちょっと一息

今につながる「私の転機」 vol.9

2回の転職、どん底から充実した毎日へ、そして・・

[2018/07/31]

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 社会福祉と生涯教育を軸に就職活動をするも、応募企業からは不採用の連絡が届くばかり。
 「自分は誰からも必要とされていないのかも」
 「自分には価値がないのかな」
 それほどまでに思いつめた中藤美智子さんでしたが、「こんなたいへんな思いを、ほかの人に味わってほしくない」と就職支援に携わる仕事に関心を持ち始めました。そして、新卒の就職支援に携わる新規事業を立ち上げる会社の面接で、想いを熱く語ります。その結果、その場で内定を獲得。想いと熱意を持って臨めば認めてもらえると、自信につながりました。
 しかし、入社当日に新規事業から撤退することを告げられ、いきなりの出向。辛い業務に同期入社の社員は8割が退職。それでもがんばる中藤さんに、女性よりも男性を重んじる昇格方針が・・。

 ここまでは前回の本コーナーで紹介いたしました。今回は中藤さんのキャリアストーリー第2弾です。果たしてどのような転機に出会うのでしょうか。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 グローリンク株式会社 代表取締役
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 国家資格キャリアコンサルタント
 2級キャリア・コンサルティング技能士
 日本産業カウンセリング学会所属
 中藤 美智子(なかとう・みちこ) さん


転職先、1日の睡眠は約3時間

 新卒で入社した会社の英会話スクール事務業務では、仕事内容に物足りなさを感じながらも、周囲から頼られていることがモチベーションになりました。ただ、信頼していた上司の退職や、女性よりも男性を優先する昇格方針などをきっかけに、溜まっていた会社への不平・不満があふれてきました。
 「この会社では自分のキャリアが積めない、外に出るしかない」

 そう考えて転職先に求めたのは、人と向き合える仕事です。「人の働くを支援したい」「人の成長に携わりたい」という、就職活動時の原点に戻ったのです。また、営業スタッフとして活躍する取引先の女性を見て、「B2Bの仕事をしてみたい」との憧れも抱きました。
 そこで、転職サイトに登録して探したところ、派遣コーディネーターという職種に興味を持ちました。何社か受けた結果、採用してくれたのが、中堅の人材サービス会社です。28〜29歳の時でした。
 配属されたのは派遣事業部です。営業兼派遣コーディネーターとして、企業に求人の営業を行い、獲得できたら登録スタッフと面談してマッチングするという仕事です。前職と違って人と直接向き合う業務ですので、楽しい半面、企業と登録スタッフの間に立つ難しさもありました。双方の要求や不満が私に集中するからです。
 ただ、それ以上にたいへんだったのが、毎日の残業です。その会社では当時、「18時までは外営業。帰社してからは登録スタッフへ連絡。21時以降にミーティングと掃除と日報記入」が習慣化されていました。会社を出るのは23時くらい、1日の睡眠は3時間くらいでした。


メンタルヘルス不調で病院へ

 ようやく仕事に慣れてきた頃、学生就職情報サービス部門に異動しました。それでも長時間労働は続きます。ただ、新卒採用の求人広告を営業するという業務内容にはやりがいを感じました。
 今でも覚えているのは、それまで新卒採用をしたことのない中小企業の社長さんに、「会社の発展のために新卒採用しませんか」と新規営業した時のことです。社長さんは私の話に耳を傾けてくれ、本格的に新卒採用に取り組んでくれました。結果、「とてもいい人が取れた。助かったよ、ありがとう」と喜んでくれました。それがすごくうれしくて、飛び込み営業への自信もつき、ほかの仕事もうまくいくようになりました。
 しかし、楽しい時期は短く、その後に異動した営業企画の仕事は、私にまったく合いませんでした。私の役割は、営業担当の後方支援として、新しい商品を生み出すためのマーケティングをすることです。でも、戦略・分析という初めて携わる仕事で、主体性を持つことができない。しかも、直属の女性上司が社内一怖い人だったのです。
 私の働きが上司の思い通りでないと、上司がイライラして怒鳴る。それが私のプレッシャーとなり、過労が続く。そうするといい仕事ができなくなり、ますます上司が怒鳴る。私は出社すると手が震えるようになり、何回も何回も泣きました。すると、上司の怒りはさらにエスカレートする。完全に悪循環でした。ライフラインチャート(※)も、これまでの人生でどん底です。
 最後には眠れなくなり、病院で診療を受けました。そうしたら、メンタルヘルス不調だと告げられ、薬を処方されました。その時、あることに気づいたのです。
 「薬を飲んでまで無理して働くって、おかしいよね。そうだ、辞めるという方法がある!」
 自分のことをそう客観視できました。辞めると決めたら、気持ちが楽になりました。引き継ぎ期間を経て、退職させてもらいました。

(注釈)
※縦軸に満足度・充実度、横軸に過去の年齢(時間軸)をとって、自己の内面を探求する曲線のこと。

※ライフラインチャートについては、本コラムの最後に掲載しています。


自分の軸となるキーワードは何か

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 とはいえ、働かなければ生活ができませんので、次の会社を探さなければなりません。でも、心身ともに疲れ果てていたため、自分がどうすればいいのか、わからなくなっていました。そこで、人材紹介会社に登録して、事務や総務の仕事を希望しました。ただ、何社か紹介してもらっても、ピンと来るものがありません。そんな私の様子に感づいたのか、人材紹介会社のコンサルタントが、「中藤さんは疲れているので視野が狭くなっているのだと思う。もう一度きちんと考え直してみるためにも、この人に会ってみるといい」と、ある会社の社長を紹介してくれました。言われるがまま、その会社を訪問しました。そうしたら、はたと気づいたのです。
 「ああ、ここの会社の仕事にはまったく興味がわかない。私、事務の仕事をしたいわけじゃないんだ。もっと長期的に『何をしたらいいか』を考えてみよう
 改めて自分の軸となるキーワードを考えてみたら、やはり原点に戻りました。
 「人の働くを支援する」「人の成長に携わる」
 学生の頃に没頭した「語学」の軸があることもわかりました。さらに、「語学×成長って何だろう?」「働く×学ぶってどんな仕事だろう?」「何かひとつ、専門性も持ちたいなあ」などとも考えました。
 そうして見つけたのが、通訳・翻訳コーディネーターという仕事です。調べてみると、自分の軸に合い、これまで培ってきた能力も活かせそうです。
 そこで、通訳者・翻訳者を主体とした人材派遣・人材紹介会社に応募、無事採用されました。


部門全体を任された仕事にやりがい

 3社目となる会社の社長は女性で、30〜40人規模の家庭的な雰囲気でした。最初に配属されたのは翻訳事業部です。外資系企業や大手企業を中心に翻訳の仕事を受注できるよう営業し、登録している翻訳者に仕事を依頼します。すると、以前の会社で培った電話アポイントメントや飛び込み営業の技能が役立ち、私の営業スタイルが高く評価されました。まもなくしてリーダーも任されるようになり、海外出張にも行かせていただきました。社内スタッフや登録スタッフには外国人も多く、本当に楽しく働くことができました。
 人材事業部に移ってからは、部門長を任されました。社長は「何もかも自分で決めていいよ」と私のことを全面的に信頼してくれて、年間事業計画の策定から営業・マッチングの運営、スタッフの管理まで、部門全体を任されました。その全体像が見えるハンドリング感にやりがいを覚えるとともに、自分のがんばりが売上に反映する達成感も得ることができました。海外でのエージェント開拓や現地大学との提携、指導プログラムの策定・実施など、学びと刺激のある仕事も多く、本当に充実していました。


リーマン・ショックで人員削減

 ところが、充実していた日々はリーマン・ショックで吹き飛びます。私がコーディネートした派遣スタッフの多くが雇い止めになってしまったのです。しかも会社の方針で、社内で働く私の部下も8割が退職することになりました。
 急に職を失った派遣スタッフや部下にとっては、青天のへきれきです。「仕事がなければ生きていけません」「どうしてくれるんですか」と、私に直接詰め寄ってくる電話もありました。
 「なんとか売上を上げて戻ってきてもらえるようにがんばるから」
 そう返事をして、売上拡大を図ろうと努力していました。
 しかし・・・東日本大震災が起き、ほとんどの受注案件が白紙になってしまいました。「今後は絶対にメンバーをリストラさせないようにしなければ」と張りつめた気持ちで営業活動していたのに、再度リストラをせざるを得ない状況になりました。私は大きな喪失感に陥り、会社で笑うことができなくなりました。同時に、事業を縮小しようとする社長や、必死さの感じられない他の社員に対して、不信感を抱き始めました。
 「誰も信用できない、全部自分でやるしかない」
 けれども、他の社員と連携しなければ、いい仕事はできません。しかも、私が苦手とする技術的な翻訳ニーズが主流に変わってきたため、ミスも生じるようになりました。
 あれほど仕事に喜びを見い出せた会社でしたが、私の気持ちは大きく揺らいでいきました。

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中藤美智子さんのライフラインチャート(21〜37歳)

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★その後、中藤美智子さんはある出来事により、「ここに私の居場所はない」と思うに至ります。
そして、大きな転機を迎えます。いったい何が起こったのでしょうか?
本記事の続きは来月の当コーナーでご紹介いたします。
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