ちょっと一息

今につながる「私の転機」 vol.4NEW

シナリオライター経験がキャリアカウンセリングにつながった

[2017/10/30]

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 「人生山あり谷あり」とよく言われますが、私たちにはさまざまな転機が訪れます。それは、「ライフラインチャート」を描いてみるとよくわかります。ライフラインチャートとは、縦軸に満足度・充実度、横軸に過去の年齢(時間軸)をとって、自己の内面を探求する曲線のことです。
 これまで3回にわたって紹介してきた原博子さんのライフラインチャートは、2度大きく落ち込みます。しかし、39歳で労働局に入職し、40歳で『キャリアカウンセラー養成講座』を受講してからは、ずっと上昇曲線を描くことになります。
 本記事は、日本マンパワーの「キャリアコンサルタント試験の実技対策講座」の講師や『キャリアコンサルタント養成講座』テキストの執筆、日本キャリア開発協会のピアファシリテーターアドバイザーなど、キャリアカウンセリングの専門家として活躍する原さんの最終ストーリーです。
 キーワードは「つながり」。読んでくださるみなさんにも元気が出ると思います。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 社会保険労務士
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 2級キャリア・コンサルティング技能士
 JCDA認定 ピアファシリテーターアドバイザー
 日本キャリア開発協会 東関東支部 千葉地区役員 PF担当
 原 博子 さん


シナリオをベースにした新研修を企画立案

 『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)を受講して以来、さまざまな人との出会いもあり、私のキャリアはとても充実したものになっていきました。
 そんなある日、日本キャリア開発協会の立野理事長(当時、現会長)から連絡が入りました。「シナリオをベースとした新しい研修の企画を考えてみませんか?」という打診です。「CDA有資格者がその講座に参加することによって、経験代謝サイクル※の考え方を学べるようにしたい」とのことでした。
※経験代謝サイクル
 人が経験とのつながりを学ぶことによって、自己概念の成長を生み出す“学びの構造”のこと(日本キャリア開発協会により発案・命名)。

 突然の依頼に最初は戸惑いましたが、子どもの頃から憧れ、何年か活動してきたシナリオライターに関連するテーマです。真剣に考えて、企画書を提出しました。
 私の考えた企画は、シナリオを作成する際に必要とされる「架空の人物の履歴書」を書き、「経験をつくる」というものです。
 企画書を読んだ理事長は「とても面白い」と評価してくださいました。ただ、いくつかの点で課題もありました。そこで、日本キャリア開発協会の研修チームと一緒にプログラムの改善を重ねました。新しいアイデアを盛り込んだり、ツールを変更したり、数回のトライアルをして新たな課題を抽出したり。そうして研修チームに助けられながら、2年間の月日を経て、スキルアップ研修『キャリアカウンセリングトレーニング シナリオ作法からキャリアカウンセリングを学ぶ〜人物を創り、語り、味わう〜』が完成しました。


架空の人物の内面や心模様に思いを馳せる

 “シナリオ研修”を初めて開催したのは2016年7月です。女性の参加者が多いと予想していたのですが、意外に男性が多く参加してくださいました。ただ、参加理由を聞くと、多くの人が「気軽にできそうだから」(笑)。
 それでも、ある悩みを持っている架空の人物を創り上げ、意見交換やインタビュー、演技などのワークが進んでいくと、目に涙を浮かべる人も出てきました。「人には歴史があり、さまざまな特性があるんだなあ」ということがわかり、「人間が愛しくなってきた」そうです。おそらく、自分が一から経験や自己概念を創り、心の内面や心模様に思いを馳せていくことで、そうした実感を得られたのだと思います。
 ほかの受講者からも、「人の背景や経験を深く聴いていく時のポイントがわかった」「自己概念のベースとなる経験や感情との結びつきがわかった」「キャリアカウンセラーとしてのトレーニングになる」など、うれしい感想をいただきました。自分が創った人物の成長を願いたくなり、それがキャリアカウンセリングにおけるクライエントの成長を願うという感覚がわかる研修にすることができました。
 今年6月に大阪で行った第2回目の研修でも、教育機関で働く受講者から「この講座を子どもたちに受けさせれば、相手の気持ちを思いやる教育ができるかもしれない」という声をいただいています。
 このスキルアップ研修は当面、年に数回開催される見込みです。次回は東京で今年の12月16日に行う予定です。

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原博子さんのライフラインチャート


好きなこと・大事なものはいつか何かにつながる

 “シナリオ研修”の企画から講師としての立ち上げまでを振り返ると、「過去にシナリオライターだったことが、こういう形でつながっていくんだなあ」と不思議な感じがします。自分の好きなこと・大事なものは、いつか何かにつながるのだと思います。以来、シナリオライターだったことをキャリアカウンセラーとして転用してほかにもいろいろと考えて挑戦してみたいという思いが募ってきました。
 今考えているのは、「毎日をていねいに生きると何が起きるか?」ということです。実は今、自分自身を実験台にして実験をしているところです。
 なぜこんな実験しているかというと、『キャリアカウンセラー養成講座』でワークに集中して取り組んだ結果、見えてきたものや活かせるものが生じたからです。たとえば、宿題の逐語録(ロールプレイングの録音を文字化したもの)を作成する際、単に文字起こしをして終わりではなく、「もし別の問いかけをしたら、展開はどう変わっていっただろうか」などまで、突き詰めて考え抜きました。そのことが、後に実技対策講座の講師をする際に活かすことができたのです。
 ですからとにかく、毎日をていねいに生き、今ここにある目の前のことに集中しようと思っています。そしてめぐり逢った出来事に感謝して、今やっていることに対して自分が100%集中した時、いったい何が見えてくるのか? いったい何が起きるのか? 次はどのようなつながりが出てくるのか? それを確かめてみたいのです。
 私たちはつい、過去のことをくよくよと思い煩ったり、未来に漠然とした不安を抱いたりしてしまいがちです。でも、過去や未来を気にしている間に、大事な時間はどんどん過ぎて行ってしまいます。それはすごくもったいないことです。経験代謝を学んだ人ならわかると思いますが、「未来は創ることができる」のです。
 「『今、ここ』を大切に生きることで、どんな未来を創れるのか」
 まだ実験中ではありますが、いずれ何らかの形で公開できればいいなと思っています。


子育てや介護をされている女性の方へ

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 最後になりますが、子育てや介護をされている女性に同じ女性の立場からエールを送らせてください。
 私にも子育てで経験があるのでわかりますが、自分の思い描いた計画がうまくいかず、崩れてしまうことがあると思います。特に真面目な方は未来の計画を綿密に立てるでしょうから、より崩れやすくなると思います。なかには、自分のがんばりだけではどうすることもできないことが原因となることもあるでしょう。そうすると、がんばる気持ちまで萎えてしまいがちです。同様の悩みを、知人や受講生からもよく聞きます。
 でも、必ずしも綿密に計画を立てる必要はないんじゃないかな?と思ったりしています。計画を立てなくても、「こんな風になりたい」「こんな自分でありたい」と思いつつ、目の前のことに集中して一生懸命やっていれば、きっと「なりたい自分」「ありたい自分」につながっていくように感じています。あるいは、つなげてくれる人に出会えるはずです。
 このことは、『キャリアカウンセラー養成講座』やCDA取得後の学びでわかりましたし、私自身の体験を踏まえても実感できます。
 ですから、たとえ何らかの理由で計画が崩れても、ぜひもう少しだけ目の前のことに集中してみてください。遠い未来に対する漠然とした不安はやって来るとは限りません。肩の力を抜いて、ていねいな気持ちで今の目の前のことに集中し、「この先に何が起きるんだろう?」と楽しみにしてみませんか? そうすれば元気がわいてくると思います。
 また、計画が崩れて、自分のキャリアが分断してしまったと感じている人がいるかもしれません。でも、自分の好きなこと・自分の大事なものを忘れない限り、何らかの形でつながることがあると思います。私はそう信じています。諦めることなく、望ましい未来を創ろうとアンテナを立て続けていれば。


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