ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.21

大手電子機器メーカーを早期退職してキャリアカウンセラーに

[2017/03/31]

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 入社したての若い頃は仕事を覚えるのに一生懸命。それが次第に職務能力として培われ、仕事が面白くなってくる。責任が大きくなるとともに、やりがいも大きくなっていく。
 でも、必ずしもすべての人が右肩上がりの仕事人生になるとは限りません。会社の事情や家庭の事情など、自分を含めた環境は常に変化していきます。雇用される人、いわゆるサラリーマンの場合は、役職定年や定年退職もやってきます。50歳代半ばになれば、いやでもそうした問題に突き当たるものです。
 そのためか、50歳代・60歳代からキャリアカウンセラー資格を目指す人は少なくありません。ハローワークで働く勝又基夫さんの場合は、59歳の時に家族の介護と会社のリストラ策が契機になって、キャリアカウンセラー資格を目指したと言います。果たしてどのような経緯があったのでしょうか? また、どのようにしてハローワークに再就職できたのでしょうか? ご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 ハローワーク(公共職業安定所) 職業相談員(一般)
 キャリアコンサルタント(国家資格)
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 勝又 基夫 さん


入社以来、33年以上の営業畑

 学生時代、私は理系を専攻していて、大学の卒業研究は「コンピュータのCPUの設計」でした。今63歳ですから、もう40年ほど前のことです。
 新卒で就職した会社は約3年半で退職。転職した大手電子機器メーカーには、59歳まで33年4ヵ月勤めました。最も長く担当したのは、電子デバイスの法人営業です。他の大手電子機器メーカーの製品に自社の電子部品を使ってもらえるよう提案営業する業務です。この仕事を東京・大阪で15年間、さらに茨城で営業所長として4年間遂行しました。
 その後、シンガポールの現地法人に取締役営業部長・副社長として3年間出向。アセアン地区に生産拠点のある日系ユーザ企業を対象とする営業業務に取り組みました。
 日本に戻ってからは、大阪・東京で電子部品・電子デバイスの拡販や、アジア販売拠点会社への営業支援業務などを数年間。さらに最後の数年間は、社内の各事業本部に対して、自社の電子デバイスを採用してもらうための営業を担当しました。
 トータルで33年以上、営業畑を歩んできたことになります。


定年1年前で早期退職を決意

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 ところが、単身生活10年目で定年まであと1年となった2012年12月に大きな転機が訪れました。創業以来「人」を大切にしてきた会社が、初めて大規模な人員削減、いわゆるリストラ策を打ち出したのです。
 しかも同時期に、自宅で介護生活をしていた父が、転倒して骨折しました。妻は「定年まであと1年だし、私ががんばるから大丈夫」だと言ってくれましたが、両親ともに90歳を超えています。その状況に対し、父の担当のケアマネジャーから次のような進言がありました。
 「自宅介護を続けていたら、次にお母様が倒れた時、家族全員が困り果ててしまいますよ。お父様を老人ホームか介護施設に預けたらいかがですか?」
 私はいろいろ考えた末、「早期退職に応募して会社を辞め、自宅に戻ろう」と決意しました。
 最初にしたことは、親の説得です。両親ともに「自分たちは自宅で介護されるのが当たり前」だと思い込んでいたからです。同時に、施設探しも行いました。どんな状況であっても、自ら動かなければ解決しません。積極的に動いたことによって、運よく特別養護老人ホームに入ることができました。


                                                          再就職相談でキャリアカウンセラーを知る

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 退職後の仕事に関しては、早期退職支援プログラムという会社の制度を活用しました。これは再就職先が決まるまで相談対応してくれるという制度です。私はまず話を聞いてから考えようと、相談しにいきました。
 そこで迎えてくれたのは、70歳くらいの男性相談員です。彼は以前、ガソリンに関わるビジネスの営業担当者だったそうです。気がついたら、私は自分の再就職相談のことも忘れて、彼のビジネス話を興味深く聴いていました。そして、面談時間がなくなってきた頃になってようやく、「ところで私、何ができるのでしょうか?」と尋ねました。そうしたら意外な言葉が返ってきたのです。
 「勝又さんは、もしかすると私と同じ相談対応業務が合っているかもしれませんね。人の話を興味深く聴きますし、自分が話すことも得意そうですから」
 急に相談対応業務と言われても、それまでまったく考えたことがありません。その時は特に意識をしませんでした。でも、別の相談員に「この前『相談対応業務が合っているかも』と言われたんですけど」と話したところ、「それは面白いかもしれませんね。キャリアカウンセラーという職業もありますよ」と教えてくれたのです。
 自宅に帰って早速、「キャリアカウンセラー」のキーワードでインターネット検索してみました。そうしてヒットしたのが、日本マンパワーのウェブサイトだったのです。


ハローワークなら人と地元に貢献できる

 日本マンパワーのウェブサイトを見ながら、いろいろと考えを巡らしました。
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)という人のキャリアを支援する資格があるのかぁ。その資格を取得するためには、『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)に通わなければならないんだなあ。1年間くらいは失業保険給付を受けられるので、時間的に受講する余裕は十分にあるだろう。資格を取れば、行政機関大学・学校などで働く道が拓けるぞ。特にハローワークは自分に合っているかもしれないな。営業部門の管理職になってからは部下の教育・育成のために、1年に7回も個人面談をした経験があるし。面談を通して部下が望ましい方向に変わっていったことは、確かに価値があったよなあ。就職支援の仕事は、誰かのために貢献できるはずだ。ハローワークなら地元にもあるから、地域貢献にもつながるなあ。もしかしたら、自分にぴったりかも。でも、本当のところはどうなんだろうか? 養成講座や資格のことをもっと詳しく知りたいなあ。

 さまざまな思いを抱き、逡巡しながらも、妻に相談しました。
 「お金がかかるかもしれないけど、俺、勉強してもいいかなあ?」
 そうしたら妻は即座に理解を示し、背中を押してくれました。
 そこで、『キャリアカウンセラー養成講座』の無料説明会に参加したのです。説明会で詳しい話を聞いて納得した私は、その場で受講の申し込みを済ませました。


ブランクを乗り越え、CDA一次試験に合格

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 『キャリアカウンセラー養成講座』には通学による授業があります。私が通ったのは、2013年春から夏にかけて通学する、第42回東京校・日曜日のクラスでした。もっとも、キャリアカウンセラーの知識はまったくない状態です。授業では、初めて耳にすることがほとんどでした。
 しかも、受験勉強なんてはるか昔のことで、勉強の仕方を覚えていません。年齢のせいか、記憶したことをすぐ忘れる。手書きするのが嫌い・・・という状態でしたから、筆記の一次試験が難所でした。初受験は不合格となりました。
 そこで私は、「無理して資格を取らなくてもいいんじゃないか。就職してからもいいだろう。資格よりも先に、まず就職しよう」と考えてしまいました。この考えは後に自分を苦しめることになるのですが、とりあえず就職しました。高齢者向けのデイサービスを提供する会社です。ただ、自分に合わないことがわかり、すぐ退職しました。
 そうして、CDAの受験勉強に戻るわけですが、勉強を中断していたのでブランクがあります。43回・44回の試験は受験せず、45回の筆記試験に向けて勉強に専念しました。そのおかげで、運よく無事合格することができました。

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★営業一筋だった仕事から相談対応業務の道を目指す勝又基夫さん。ブランクがありながらも一次試験に合格しました。その後、果たして二次試験は通るのか? 再就職はどうなるのか? 本記事の続きは来月の当コーナーでご紹介いたします。
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