ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.28NEW

何も考えず、その時々の興味で転職していたけれど・・

[2018/03/29]

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 「キャリア」という人生の道は、人それぞれです。
 将来のことをしっかりと考えて歩む人もいれば、まったく考えずに歩む人もいることでしょう。でも、たとえ何も考えずに歩んだとしても、その足跡はその人ならではのキャリアだと言えます。
 今回ご紹介する林きよみさんのキャリアは、後者にあたるそうです。インタビューでも、「何も考えていなかったんです」とおっしゃる場面が何度かありました。読者のみなさんには、もしかすると「ただ転職を何度か経験している人」に映るかもしれません。
 しかし、それはあくまで初期の様子でしかありません。実はその後、ある転機によって人生が大きく変わることになります。
 林さんの資格活用キャリアストーリー。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 人材サービス会社
 就職・転職支援行政機関 副統括責任者
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 林 きよみ さん


成田空港で働くも、2年で実家へ

 私は名古屋市近郊で生まれ育ち、大学も名古屋市内の短大に通いました。当時はちょうどバブル期で、大した苦労もせずに就職できたような時期です。ですから、本来であれば就職活動をすべき最終学年の夏休みにも、大学の海外ツアーに参加しました。ホームステイと併せて50日間もヨーロッパに滞在。就職活動はまったくしていませんでした。
 就職活動を始めたのは帰国後の9月です。といっても、活動と呼べるほどの活動ではありません。なんとなく「空港で働きたいなぁ」と思って、空港を運営する会社に応募しただけです。それですんなりと採用していただきました。
 仕事は、成田空港の免税店での接客業務です。私が配属されたのは海外のエアラインが集中している場所でしたので、さまざまな外国人を目の当たりにしました。たとえば、通路にマットを広げてアラーの神にお祈りする人、並ぶことなくカウンターに群がって我先に買おうとする集団、「パスポートを見せてください」とお願いすると怒り出す人等々。
 「世界にはさまざまな文化や考え方があるんだなあ」と肌で感じられました。

 ただ、成田空港で働いたのは2年間だけです。というのは、実家の母から愚痴の電話がよくかかってきていたため、心配になったからです。「帰った方がいいかなあ」「帰った方がいいよなあ」と思い巡らし、愛知県に戻ることにしました。


隣の席は感情の起伏が激しい先輩

 そうして実家に戻ったのですが、空港海外旅行の仕事には未練がありました。きっと好きだったのだと思います。そこで、国内ではありますが、旅行ツアーの添乗員のアルバイトをすることにしました。日本人を対象として国内の観光地を引率する仕事です。
 でも、24歳になった頃、周囲から「就職するんだったら、25歳までにした方がいいよ」とアドバイスされました。それで求人雑誌で探してみたのですが、そもそも就職活動をきちんとしてこなかったので、会社や業界のことをあまり知りません。辛うじてピンと来たのは、1枚のショールームの写真です。成田にいる時に、写真と同じショールームに行ったことがあるからです。その会社は大手の住宅設備機器メーカーだったのですが、細かいことは何も考えずにその会社の事務職に応募し、働くことになりました。主な仕事は、ハウスメーカーに水回り製品を納品する受発注業務です。
 ところが、隣の席に非常に感情の起伏の激しい女性の先輩がいました。その人の機嫌のいい時は問題ないのですが、機嫌が悪い時は大変です。たとえば、「この仕事はどうすればいいでしょうか?」と質問しても、「知らない」の一言。また、八つ当たりだと思いますが、電話の受話器を投げつけられたこともありました。周囲の人もその人には注意しづらいようでした。
 ですから、私はよくロッカーやトイレで泣いていましたとても辛い日々でした。でも、「1回入った会社だから頑張らなきゃいけない」と思い込んでいたせいか、退職には至りませんでした。また、周りの人がとても気を遣ってくださいましたし、お客様や工場担当者との関係性も非常に良好でした。それが救いになっていたように思います。
 それでも入社2年が経った頃、さすがに「彼女と一緒に働くのはもう無理」という限界に達しました。「辞めよう」。そうした思いが強くなったある日、社内でもめごとがあったらしく、彼女の方が先に退職してしまったのです。
 おかげで辞める理由もなくなり、仕事を続けていたのですが、30歳くらいの時に退職しました。退職の理由は特にありません。「結構長く働いてきたし、ちょっと飽きてきたなあ」という程度です。今思うと自分でも不思議ですが、何も考えずに退職しました。


失業保険受給を終えて派遣に登録

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 本当に何も考えていませんでしたから、辞めたからといって次の仕事が決まっているわけではありません。とりあえず失業保険を受給して、受給期間が終了してからようやく「どうしようかな?」と考え始めました。お恥ずかしい限りですが、行き当たりばったりなのです。キャリアデザインの「キ」の字も知りませんでした。ただ、さすがに「何かやらなきゃいけない」と思って、失業期間中に簿記2級の資格だけは取りました。
 次に私が動いたのは、派遣会社への登録です。2社に登録し、うち1社からスポーツ用品小売会社の事務職として派遣されることになりました。
 仕事は当初、数値目標の予算と実績を比較する予実管理にかかわる事務を担当。その後しばらくして、ゴルフ場の会員権を償還するプロジェクトに異動しました。私は、Microsoft Accessで会員データベースを作って管理したり、規約を作成したりしていました。経験の浅い派遣社員ですから、データベース作成はシステムに詳しい人に教えてもらいながら、規約作成は法務担当者の指示に従って、というような具合です。
 そうしてプロジェクトが無事終了。それと同時に派遣契約も終了になりました。結局、2年間の派遣となりました。


「いつか専業主婦になる」

 「さあ、次はどうしようかな?」
 そう考え始めた私に、ゴルフ場のプロジェクトで一緒に働いていた社員があることを教えてくれました。
 「ウチの妻も派遣社員だけど、その人材サービス会社はすごくいいって言っていたよ」
 その人材サービス会社のオフィスは、名古屋駅に新しく建設された高層ビルの中にありました。話題のビルに行ってみたかった私は一石二鳥だと思って、「じゃあ登録しよう」と出かけました。
 そうすると、人材サービス会社の人が「ウチの会社でコーディネーターの契約社員として働いてみませんか?」と誘ってくださったのです。コーディネーターがどのような仕事かはよくわかりませんでしたが、せっかくお声掛けいただいたので「1回入ってみようかな」と思ってお話をお請けしました。

 今考えると、私がこのように軽く就労先を決めてしまっていた理由は、「いつか専業主婦になる」という思いこみがあったからだと思います。当時33歳でしたが、その頃も「いつか専業主婦になる」と思っていたので、長く働き続ける自分のイメージがなかったのです。また、「どうにかなるだろう」と楽観的でもありました。
 ただ、「迷ったらやる」という気持ちだけはあったように思います。人材サービス会社の雇用形態は3ヵ月契約時給制で、けっして安定したものではありませんでしたが、「迷ったらやる」の精神で飛び込んだのです。


                                                         人材サービス会社で毎日終電近くまで

 コーディネーターとし画像エラーての主な仕事は、派遣先と派遣スタッフとのマッチング、派遣後のフォロー、契約手続きなどです。
 ただ、行きたかった高層ビルではなく、別の場所の古いオフィス。8人くらいのチームメンバーのほとんどが入社1〜2年目の若い人たち。仕事を教えてもらえる環境でないばかりか、業務マニュアルも整っていませんでした。
 そんな状態ですから、自力で学んで仕事を覚えていくしかありません。会社として業務の仕組みも整っていないので、作業効率が悪く、一つひとつの仕事に時間がかかりました。しかも、派遣事業の成長期でしたから、派遣のオーダーもスタッフ登録件数も多い。必然的に残業時間が長くなり、終電時間になんとか間に合うように仕事を切り上げて帰宅していたような毎日でした。わずか入社2ヵ月ほどで、「これはちょっと体力的にもたないかも」と思い始めました。
 そんな時、私を採用してくださった女性役員の方に声をかけられたのです。
 「正社員の登用試験を受けに行きなさい」
 この言葉は、みなさんにとっては望ましい言葉に感じられるかもしれません。でも私は正社員になりたくありませんでした。社員になっても体力的に厳しいことがわかっていましたので、本当は断りたかったのです。しかし、その女性役員のことが普段から怖くて、とても「No」と言えませんでした。言われるがまま履歴書を用意し、登用試験を受けました。
 そうしてわずか3ヵ月の契約社員が終了し、2002年の秋、人材サービス会社の正社員になりました。しかしその後、人生を大きく変えるような転機が訪れたのです。

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★「何も考えずに」仕事を変えてきた林きよみさんが辿り着いた、人材サービス会社の正社員。「人生を大きく変えるような転機」とは、果たしてどのような出来事なのでしょうか? 林さんのストーリー続編は来月の同コーナーでご紹介いたします。
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