ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.24

人とかかわる場のすべてでCDA学習が役立つ

[2017/06/28]

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 空港のカウンター業務を20年以上続けた後、関連会社に管理職として出向。出向先で携わった「高校生のための就職ガイダンス」で、生徒に対する講師のかかわり方に大きな魅力を感じる。その魅力の鍵が、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)にあることを知り、日本マンパワーの『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)を受講。ところが、CDAが1対1のキャリアカウンセリングをすると聞いてビックリ。
 「私がやりたいのはカウンセリングじゃない!」

 これは、前回の「キャリアカウンセラーの資格活用」でご紹介した本多祐子さんの、養成講座受講に至る経緯の概略です。本記事はその続編となります。

 キャリアカウンセリングにほとんど興味のなかった本多さんも、養成講座での学びに感銘を受けます。理論やワークを通して学んだことは、プライベートでも非常に役立ったと言います。
 「対人支援のカタチはキャリアカウンセリングとは限らない」
 そう話す本多さんの考え方はとても刺激的です。ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 全日本空輸株式会社勤務
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 日本キャリア開発協会 関東支部
 東東京地区役員 ウェルカムトレーニング担当
 本多 祐子 さん


理論を学ぶと楽になることがある

 『キャリアカウンセラー養成講座』通学コースの授業に出て初めて、「CDAが1対1のキャリアカウンセリングをする」ということを知ったほど、私には予備知識がなかったのですが、キャリアカウンセリングに関する理論には新鮮な驚きと興味を覚えました。学べば学ぶほど面白いと感じていきました。
 ご存知の方も多いでしょうが、キャリアカウンセリング理論は1つだけではありません。さまざまな時代に、さまざまな研究者が独自の理論を提唱しています。
 その中でも私が一番好きな理論は、米国スタンフォード大学の教育・心理学教授、クルンボルツちゃんプランド・ハップンスタンス・セオリー(現在の呼び方はハップンスタンス・ラーニング・セオリー)です。偉大な博士を「ちゃん」付けするのは、養成講座の先生に倣ったもので、親愛の情を込めてです。
 この理論は、「予期せぬ偶然の出来事は、本人の捉え方や行動によってチャンスや好機に変えられる、望ましいものである」という考え方に基づいています。これを初めて知った時、私は「理論を学ぶと楽になることがあるんだな」と思いました。私自身のモヤモヤした気持ちが晴れたからです。
 というのは、当時、私は将来に不安を感じていました。一般職で採用された私は、サポート的な仕事が多く割り当てられ、同世代の総合職男性と比べて経験などの面で足りていないと感じていました。ですから、総合職に転換する制度はあっても「私に総合職は無理だろう」と思っていましたし、一方で「一般職では今後のステップアップは難しい」とも思っていました。「年金をもらえる時期も遅くなっていくはず」「いったい私、どうなるんだろう?」などの不安を拭えませんでした。
 でも、クルンボルツちゃんの理論は非常に前向きです。同じ出来事であっても、それをどう捉えるか、どう受け止めるかによって、自分の将来が変わってくることを教えてくれました。それがきっかけで、「総合職が無理だって限らないよね」「自分次第で将来は変わるよね」という風に思えるようになり、その後実際に総合職へ転換しました。


学習はまず日常生活で役に立った

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 養成講座で学習したことは非常に役立ちました。
 まず挙げられるのは、認知症の父との会話。父には、幻視や妄想の症状が出る時期がありました。「そこに小さい子どもがいる。もう遅い時間だから帰らせなさい」と怒ったこともあります。そうした時、家族は、「お父さん、大丈夫よ。子どもなんていないからね。安心してゆっくり休んでくださいね」などと優しくなだめます。でも、父にとっては子どもが見えているんです。父の立場から考えると、自分が見えているものを否定されると不安になるそうなのです。
 そうした父に対し、私は「子どもがいるんだよね」と受け止めることができました。そう受け止められたのは、『キャリアカウンセラー養成講座』でクライエントのことを無条件に受け入れるという、キャリアカウンセリングの基本理論を学んだからだと思います。

 また、職場の同僚女性たちから次のように言われたこともあります。私が出向先から異動することになり、送別の食事会に誘われた時のことです。
 「本多さん、私の話をいっぱい聴いてくれてありがとうございました」
 「ランチタイムでいろんな話を聴いてもらってうれしかったです」
 「これからもずっと話を聴いてほしかった」

 そんな内容のことを口々に言われました。私はおしゃべりなタイプなので、自分が聴き役だったとは思ってもみませんでした。ただ、その頃はすでに通学コースが修了していて、ロールプレイング(キャリアカウンセリングの模擬演習)の実技試験対策も何回か重ねていたので、自然に人の話を聴くことが身についていたのかもしれません。あるいは、受け答えの仕方が以前と変わったのかもしれません。いずれにせよ、CDA資格取得に向けての学習効果によるところが大きいように思います。


誰かに道を教えるだけでも対人支援

 このように、CDA学習によって得られるものは、必ずしもキャリアカウンセリングに限られるものだけではありません
 もちろん、CDAの資格を取ろうとする理由は人によって違います。キャリアカウンセラーの職に就きたいという人もいるでしょう。別の仕事に活かそうと思う人もいれば、転職活動や再就職活動を有利に運びたいと考える人もいます。
 でも、仕事・プライベートにかかわらず、人とのかかわりの中でCDA学習が役に立たない場はないと思うのです。どんな場でも役に立ちます。私は対人支援の仕事をしているわけではありませんが、勉強して本当に良かったと感じています。
 さらに言えば、対人支援は必ずしもキャリアカウンセリングだけとは限らないのではないでしょうか。「本多がいて良かった」と思ってくれる人が1人でもいれば、それはひとつの対人支援だと思います。誰かに道を教えるだけでも対人支援だと言えるのではないでしょうか。

 そう考えると、CDAは活かせる機会が非常に多い資格だと思います。たとえば、「家庭内の会話が変わって家族とぎくしゃくしなくなった」というだけでも大きな活用効果です。「キャリア」という言葉を「仕事」ではなく、「人生」だと捉えるとわかりやすいかもしれません。
 私は、CDAという資格をそんな風に捉えています。  

                                                    

                                                          養成講座の先生との出会い

画像エラー 学習して良かったこととして、もうひとつ挙げたいことがあります。それは、インストラクターの先生との出会いです。先生には非常に大きな影響を受けました。
 今でも強く印象に残っているのは、私がキャリアカウンセラー役でロールプレイングをしていた時のことです。先生は私にこう言いました。
 「本多さんとクライエントの間には川が流れているみたいね。川を渡って、クライエントの横に腰を下ろして、一緒に話を聴いてみて」
 その指摘は私にすごくフィットしました。すーっと腑に落ちました。
 その時の私は、「オブザーブ役の人からどう見えているだろうか」「クライエント役の人から『いい質問ですね』って言われる質問がしたい」など、周りの評価を気にしながらロールプレイングをしていたように思います。雑念が多かったのです。先生はそれを「川が流れている」と表現してくれたようです。
 もっとも、この表現は私だけに対する表現で、ほかのクラスメイトには別の表現でアドバイスしていらっしゃいました。
 「あぁ、先生は一人ひとりのことをよく見ていらっしゃるんだなあ」と、本当にありがたく感じました。2次の実技試験対策では先生の言葉を信じて、1回で合格することができました。1次の学科試験は2回落ちましたが(笑)。

 そうした点にも魅力を感じ、資格取得後には『キャリアカウンセラー養成講座』の通学コースでインストラクターの補助をする運営スタッフ2回務めました。その際に改めて尊敬したのは、受講生の質問に対する先生の答え方がすばらしいことです。たとえ受講生が的外れな質問をしても、先生方は「ああ、そこが気になるんですね」「そういうこともあるかもしれないわね」などと肯定的に受け止めた上で答えるのです。そのやりとりはまるでキャリアカウンセリングそのもののようで、すごく勉強になりました。受験生にとっては、先生の質問対応をしっかり聴いておくと、実技の面接試験に必ず役立つと思います。
 そうしたことを学べたのも、養成講座を受講して良かったことのひとつです・

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★CDA学習で得たことは、さまざまな機会で活かせるという本多祐子さん。実際、資格取得後の本多さんの活動には目を見張るものがあります。1対1のキャリアカウンセリングにとらわれない本多さんの資格活用は、来月の当コーナーでご紹介いたします。
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