ちょっと一息

今につながる「私の転機」 vol.8

苦しい就活をようやく乗り越えたにもかかわらず・・・

[2018/06/28]

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 「あの頃はとても楽しくて、充実していたなあ」
 「当時はとても辛くて、泣いていたなあ」
 みなさんも、同じような思いをしたことがあるのではないでしょうか? まさに、人生は山あり谷ありですね。満足度や充実度が高い時もあれば、低い時もあります。そして、高い時から低い時へ向かう転機、低い時から高い時へ向かう転機もあることでしょう。
 転機については、普段、自分ではあまり意識することはないと思います。でも、過去の経験を思い出してじっくりと振り返ると、何かが見えてくることがあります。自分ならではの強みを発見できるかもしれません。

 本記事は、キャリアコンサルタントとして独立開業し、大学や企業で活躍している中藤美智子さんのインタビュー記事です。中藤さんのキャリアストーリーにもさまざまな転機が詰まっています。ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 グローリンク株式会社 代表取締役
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 国家資格キャリアコンサルタント
 2級キャリア・コンサルティング技能士
 日本産業カウンセリング学会所属
 中藤 美智子(なかとう・みちこ) さん


社会福祉、英会話サークル、ボランティア活動

 私は新潟県で生まれ育ち、大学進学時に上京しました。大学での専攻は社会学部です。社会学部を選んだ理由は、高齢の祖母を介護する母の献身的な姿を見て、高齢者を支援する社会福祉の必要性に興味・関心を抱いていたからです。また、ニュースでアフリカの子どもたちが飢餓状態に陥っている様子などを見て、そうした子どもたちを支援したいとも思っていました。
 ただ、「卒業後にこれをしたい」という具体的な目的があったわけではありません。ですから進学先も、自分の意思というよりも母が勧めるがまま指定校推薦に応募・受験し、運よく合格したという感じが強いかもしれません。
 そうして入学した大学では、父の勧めでESSという英会話サークルに入会しました。ESSにはさまざまなセクションがありましたが、私はスピーチをするセクションを選びました。社会問題などをテーマに10〜15分程度の英文原稿を考え、大会などで発表する活動です。サークル活動にはかなり没頭し、夜まで練習することもありました。今振り返ると、「私、がんばっていたなあ」と思います。社会情勢への考えを深める習慣も鍛えられました。企画長の役職に就き、年間行事を計画・遂行したことも、貴重な体験になりました。
 また、大学3年生になると、少年院でのボランティア活動も始めました。非行少年を更生支援する地域の団体に参加したのです。それまで親の勧めに沿って生きてきた私が、初めて自らの意思で動いたチャレンジです。少年院では、心を開くためのワークショップなど、いろいろなアクティビティに取り組みました。
 もっとも、ボランティア活動では挫折感も味わいました。周囲の人に比べて、自分が劣っていると感じたからです。たとえば、数十人が参加する団体メンバーの打ち合わせで、社会人や他大学の学生は活発に発言するのに、私は何もできない。
 「あー、私は全然だめだ」
 そんな風に、消極的な自分自身に対してもやもやすることもありました。

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就職活動での辛い思いを味わってほしくない

 そんな私が3年生の秋を迎え、就職先として考えたのが、社会福祉の仕事ができる公務員です。冬からは予備校にも通い、本格的に公務員試験の勉強を始めました。
 でも、スタートが遅すぎました。早い人は1年生の時から始めているのに、私は3年生の冬まで勉強していなかったのですから。残念ながら、不合格となりました。
 その後は、社会福祉生涯教育を軸に、民間企業への就職活動に取り組みました。生涯教育に関心を持ったのは、ゼミ活動などを通して一生学び続ける姿勢が重要だと考えたからです。ところが、応募企業からは不採用の連絡しか来ません。当時は大学にキャリアセンターもなく、就職活動のたいへんさを思い知らされました。人生のどん底のように感じ、「自分は誰からも必要とされていないのかも」「自分には価値がないのかな」と思いつめました。
 そして、「こんなたいへんな思いを、ほかの人に味わってほしくない」と思い始め、就職支援に携わる仕事にも関心がわいてきました。

 そんなある日、大学就職課の掲示板を眺めていたら、1枚の求人票が目に飛び込んできたのです。
  生涯教育を推進する会社
  新卒の就職支援事業を新たに立ち上げ
  初めての新卒採用、10名募集

 「これだ! 私が求めていたのは」
 すぐさま応募して、社長面接で自分の想いを伝えました。苦戦続きの中で見い出した唯一の光でしたから、熱意を込めて話しました。それが伝わったのか、即内定。「入社前からアルバイトに来てほしい」とも言われました。想いと熱意を持って臨めば認めてもらえることを実感するとともに、自信につながった瞬間でした。


入社初日で断念させられた就職支援業務

 内定をもらった会社でのアルバイトは、社会人向け教材販売に関するDM発送などを手伝いました。そしていよいよ4月1日からは正社員。新卒の就職支援に携わる新規事業の仕事となります。
 しかし・・・初出社して耳にした社長の言葉は期待を裏切るものでした。
 「新規事業はなくなりました」
 どうやら収益が見込めないらしく、新規事業をたたむというのです。
 「だから、本社には君たち新人10人の仕事はない
 やりたかった仕事ができないばかりか、いきなり販売会社へ出向することになりました。出向先での仕事は、大学生に資格試験対策用の教材を買ってもらうために、1日中営業電話をする仕事です。電話でじっくりとご説明し、納得していだいた上で契約してもらうのですが、何かだましているような気持ちになりました。それにいたたまれず、同期の8割がメンタル疾患などで次々と退職していきました。私も、その仕事に意味を見い出すことができず、ライフラインチャート(※)は大きく落ち込みました。
 でも、生計を立てるためには働かざるを得ません。がんばるしかないという気持ちで働き続けました。
(注釈)
※縦軸に満足度・充実度、横軸に過去の年齢(時間軸)をとって、自己の内面を探求する曲線のこと。

私の転機vol.8_ライフラインチャート
中藤美智子さんのライフラインチャート(21〜28歳)


顧問との出会い、周囲に恵まれた職場


 そんな会社でも、いいことはありました。事業立ち上げを担当する外部顧問の人との出会いです。その人は経営者が集まるような社交の場によく連れて行ってくれて、経営や起業、モノの見方や考え方など、さまざまなことを学ばせていただきました。キャリアデザインについて初めて教えてくれたのもその人です。おそらく、それがあったからこそ辛い仕事でも続けられたのだと思います。
 また、電話営業やセールストークにも自信が持てるようになりました。

 すると半年後、英会話スクール事業の立ち上げに伴って、本社へ異動することになりました。私の役割は、全国に展開するスクール10校の外国人講師や受付スタッフをサポートすることです。具体的には、勤怠管理や講師採用、消耗品補充など総務・経理・労務にかかわる事務が中心です。いわば裏方の仕事ではありますが、外国人講師などからは「仏の美智子さん」などと呼ばれ、「美智子さんに頼めば何でもやってくれる」と頼られていました。上司や同僚にも恵まれ、とてもハッピーな気持ちで仕事をすることができました。ライフラインチャートも上がっていきました。
 ただ残念ながら、仕事の内容には物足りなさを感じました。端的に言えば、つまらない。ほかの社員が海外留学するなどキラキラ人生を送っているように思える一方、自分は裏方の事務でしかない。だからと言って、「私もそういう立場になりたい」と主張するわけでもない。悶々と悩みながらも、周囲から頼られていることをモチベーションに、裏方業務をがんばっていました。


「女性よりも男性の昇格を優先」に・・・

 そうして数年が経つ頃、信頼していた直属の上司が退職しました。また、時を同じくして、同期入社の男性がリーダーに昇格しました。
 「ということは、私もリーダーに昇格するだろう」
 そう思っていたのに、私は昇格できませんでした。そのことを本部長に直訴すると、「お前はダメだ。中途入社の男性がまだリーダーになっていないから」との返事。女性よりも男性の昇格を優先しているのです。同じことを社長にも尋ねたら、「ブレインは俺だ。お前は俺の指示に従っていればいい」と言い放ちます。
 誤解のないように言っておきますが、この会社にはほかにもさまざまな部署があり、活躍している女性もいました。ただ、当時の私は視野が狭かったのかもしれません。
 「この会社では自分のキャリアは積めない。外に出るしかない」と、転職を決意しました。

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★辛い仕事でもがんばってきた中藤美智子さんでしたが、ついに転職を決意しました。その後のライフラインチャートは、さらに激しい動きになります。中藤さんにどのような出来事が待っているのでしょうか? 本記事の続きは来月の当コーナーでご紹介いたします。
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