ちょっと一息

キャリアカウンセラーの資格活用 vol.16

終活を通して「人生をもっと輝かせる」一端を担いたい

[2016/11/29]

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広告代理店の敏腕プロデューサーから個人事業主に転身。出版編集や広告営業の受託をしながら、遺影の持つ力に強い関心を覚え、ブログ「遺影について思うこと〜自分らしく生きるために〜」をスタート。終活業界のネットワークが広がり学習を進める中、「逝き方は生き方」であることを学ぶ。さらに、『失敗しないエンディングノートの書き方』(法研)を執筆――。
 過去2回にわたって紹介してきた、石崎公子さんのお話です。こうして要約すると順風満帆に感じられるかもしれませんが、当のご本人は「専門家でもなければ現場経験もないのに、大それたことをしてしまった」という気持ちが大きくなったと言います。そこで、専門性を身につけようと「キャリアカウンセラー養成講座」(現在のキャリアコンサルタント養成講座)を受講、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格を取得しました。
 本記事は、石崎さんのストーリーの最終章。CDAを取得した石崎さんは、何を得たのか? また、現在はどのような活動に取り組んでいるのか? ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 石崎公子事務所 トラベシア 代表
 コミュニケーション・スペシャリスト
 石崎 公子 さん

 ◇国家資格キャリアコンサルタント
 ◇CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 ◇終活カウンセラー
 ◇供養コンシェルジュ
 ◇セカンドライフアドバイザー
1982年広告代理店に入社。勤続25年(マーケティング/プロデュース)で退職、独立。個人や小さな法人の広告・PR・ブランディング、制作支援のほか、プロジェクトの運営推進や組織づくりサポート、キャリア形成・コミュニケーションスキルの向上の指導を行う。生き方がにじむ顔つきや遺影に注目したことから終活業界とつながり、エンディングノートを活用した生き方講座やワークショップ、終活関連書籍などを手がける。著書に『失敗しないエンディングノートの書き方』(法研)がある。


「エンディングノート講座」で終活を考える

 私は、CDA資格を取得する前から、「エンディングノート講座」を主催していました。月に1回、参加者のみなさんと終活に関することを話し合い、学び合いながら自分の人生を振り返り、エンディングノートを書いていく講座です。毎回のテーマは月によって異なります。たとえば初期は、「エンディングノートの構成と選び方」「人生を振り返る」「自分の顔について考える」「資産を再確認する」「医療について考える」「相続を学ぶ」などのテーマで実施しました。

 当時、一般的には「エンディングノートとは、もしもの時のために自分の希望を書き留めておくためのノート」だと思われていました。もちろん、そうした役割も持っていますが、それ以上に、自分の人生や家族との関係を振り返り、確認し、整理することが大切です。そのことは、著書『失敗しないエンディングノートの書き方』(法研)でも触れました。ただ、書籍だけで伝えられることには限界があるため、終活支援の一環として継続した「エンディングノート講座」を始めたのです。おかげさまで参加者のみなさんには好評で、少数ながら何人もの方と毎月お話をし、一緒に考えることができました。



「知っておく」「考えておく」ことが大切画像エラー

 終活は非常に奥深いものです。
 たとえば、延命治療のための人工呼吸器をつけるかどうか選択をせまられることがあります。みなさんはどのような人工呼吸器を思い浮かべますか?
 実は、人工呼吸器にもいろいろあります。顔にマスクを装着するものもあれば、鼻から気管までチューブを通すもの、喉を切開して、気管に直接機械から酸素を送るためにつなげるものなどです。しかも、一旦選択したら、ほかのタイプに変更したりやめたりできなくなるものもあります。もちろん、医師が説明してくれますが、話はむずかしく、選択を迫られた時に冷静な判断ができるとは限りません。
 ですから、自分が元気な時に「知っておく」、いざという時に自発的に選択する余地が大きくなるはずです。その上で、どうしたいか家族とよく話し合っておけば、なお望ましいでしょう。

 同様に、「考えておく」ことも大切です。
 たとえば、延命措置を断わって自然死を迎えることを尊厳死と言いますが、「尊厳」とはいったい何でしょうか? 「尊厳を守る」とは、何を守るのでしょうか?
 おそらく、ほとんどの人が考えたことがないと思います。「エンディングノート講座」では、そうしたことも一人ひとりが考え、話し合いました。ちなみに、「あなたにとっての尊厳とは何か?」に対する答えは、人によって異なりました。尊厳は人によって違うのです。


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CDAを学んだことで見えてきたこと

 人は、事前に的確な情報を知って考えることによって、初めてはっと気づき、新しいアンテナが伸び始めることがあります。「エンディングノート講座」を通して参加者のそうした姿を実感できた際には、すごく喜ばしく思いました。また、私自身も、新しい発見をすることもしばしばでした、

 それと併行して、CDA資格を学習・取得する過程で、私自身の考え方も変わっていきました。
 当初は、エンディングノートの各項目をみなさんがきちんと埋められるようになることを主眼に、人生の振り返り、資産、医療、介護、相続、葬儀などについて学んでいました。しかし、日本マンパワーの「キャリアカウンセラー養成講座」受講しているうち、エンディングノートを書くことよりも、今をどう生きるかを考えることに主眼がシフトしていったのです。なぜなら、エンディングノートに書くのは、「どう生きるか」の結果だからです。養成講座の毎週の授業で「生き方の支援」の重要性を学び、それが腑に落ちたからだと思います。

 「定年」という言葉を強く意識するようになったのも、CDAを学んだことが大きいと思います。
 近年は継続雇用制度の導入や定年年齢の引き上げ、定年制廃止などの動きがありますが、仮に60歳で定年退職するとしましょう。そうすると、女性の場合は平均寿命が約87歳ですから、定年後に27年間も生きることになります。この定年後をどう生きるかと考えた時、仕事や働くことを抜きにしては考えにくいのではないでしょうか。
 私は以前から「逝き方は生き方だ」と考えて終活の取り組みをしてきましたが、「定年後の生き方においても、働くことは誰もが無視できないこと」と考えるようになったのは、CDA受講のおかげです。それは、合格に向けて自主勉強会グループなどで知り合った50代以上の先輩方とお話ししていて、その思いを強くしました。
 前職の広告代理店で働いていた時に50代後半の先輩が元気なく見えたのも、定年が近づいてきて自分の存在価値が見えなくなっていたからかもしれません。少なくとも、定年に対してネガティブなイメージを抱いていたものと思われます。


年をとったことでさらにハッピーだと思えるように画像エラー

 ただ、定年は果たしてネガティブなものなのでしょうか? 次のステージで自分が何に貢献できるのかという視点で世界を広く捉え、気持ちを前に向けると、新しい未来が見えてくるのではないでしょうか。その生き方は、現役世代にも希望を与えるはずです。
 定年と同様、高齢化社会という言葉にもネガティブな社会的ニュアンスを感じます。もちろん、社会が高齢化するとさまざまな問題が顕在化することは承知しています。でも、多くの人が一様に高齢化社会という言葉にネガティブイメージを抱きすぎているように思います。「高齢者社会は喜ばしいものだ」と考えることはできないでしょうか。
 こうしたことを整理して話せるようになったのも、CDAを受講したおかげだと思います。

 現在、終活業界の専門家の中にキャリアカウンセラーはほとんどいません。もしかしたら、私一人かもしれません。終活は生きるための活動なのに不思議な現象です。だからこそ私は、自分が年を重ねたことでさらにハッピだと思えることを増やせるよう、人生をもっと輝かせられるよう、終活支援を通してその一端を担うことができればと考えています。また、その輪を広げて、終活とキャリアカウンセラーをつなげていければと思います。

 もしみなさんの中に「そろそろ人生を折り返したかな」と思われる方がいらっしゃれば、終活を意識してみてはいかがでしょうか。人生を振り返り、将来の人生を考え、自分がこの世に何を残したいかを考える。終活は他人事ではなく自分事です。

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