ちょっと一息

今につながる「私の転機」 vol.6

1通のメールから生まれたご縁で大学講師に

[2017/12/22]

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  「あの時、あんなことがあったから、今の自分がある」
 みなさんにも、そうした出来事があったのではないでしょうか。
 キャリアカウンセラーや大学講師などを務めるほか、日本キャリア開発協会の神奈川地区長でもある野条美貴さんにも、転機となる出来事がありました。
 学生時代には就職氷河期。入社した警備会社では採用担当として活き活きと働いていたものの、出産を機に退職。専業主婦として2人の子育てをしている間には、2度の転居。どちらも知り合いのいない地への転居で、当初はマンションで独り泣いていたそうです。
 でも、9年間のブランクを乗り越えてパートタイマーに出てからは、持ち前の元気が回復。ハローワークや職業訓練機関で就労支援することにやりがいを感じるようになりました。また、職場の先輩からの薦めもあり、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)を目指して、日本マンパワー『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)の受講も決心。子育て、仕事、資格学習と充実した日々を送り始めていたのですが・・。
 順風満帆な日常に新たな問題が生じたのです。この転機に対して、野条さんはどのような行動を起こしたのでしょうか?
 本記事は、野条さんのストーリーの第2弾です。「資格をどのように活かせばいいか」の参考にもなると思います。ぜひご参照ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 国家資格キャリアコンサルタント
 2級キャリアコンサルティング技能士
 2級ファイナンシャルプランニング技能士
 メンタルヘルス・マネジメント検定擬鏐膤
 日本キャリア開発協会 西関東支部 神奈川地区長
 野条 美貴(のじょう・みき) さん


養成講座受講中、3度目の転勤が決まる

 島根に来て約3年。地元の生活にも慣れ、雇用・能力開発機構島根センター(名称は当時)という職業訓練機関でやりがいを感じて働いていた時、夫の3度目の転勤が決まりました。転勤先は東京、異動日は8月1日です。
 しかし、前2回の転勤と違って、今度は小学6年生の長男が帯同を拒みました。
 「ぼくは今の友だちと一緒に秋の修学旅行に行きたい」
 私も『キャリアカウンセラー養成講座』受講の真っ最中です。そこで、まずは夫が単身赴任をし、私と子どもたちは2ヵ月遅れて転居することにしました。

 『キャリアカウンセラー養成講座』では、さまざまなことを教えていただき、自分の糧になる気づきがありました。
 たとえば、米国のキャリア研究者、ドナルド・E・スーパーのライフロールという理論は、人には職業人という役割だけでなく、さまざまな役割があり、いくつかの役割の組み合わせによって人生が満足したものになるという考え方です。家庭で働くこともひとつの役割。専業主婦の長かった私にとって、この理論は心の助けになりました。
 また、ジョン・D・クルンボルツのハップンスタンス・ラーニング・セオリーは、「偶然の出来事は人のキャリアに大きな影響を及ぼし、かつ望ましいものである」という理論です。これを学んだことで、「夫の転勤で転居するのも望ましいものなんだな」と思えるようになりました。
 私にとって転居は非常に大きな出来事ではありますが、それがどのような意味を持つかは「私がどう捉えるか」によって変わるということがよくわかりました。『キャリアカウンセラー養成講座』という学びの場を得られたおかげです。


実技試験の学習を助けてくれたのは

 そのため、3度目の転居は以前ほど落ち込みませんでした。「CDA資格も取るのだから、転居をチャンスと捉えて新しい仕事に就こう」と前向きに考えていました。
 ただ、島根の養成講座で出会った仲間とは離れてしまったのは残念です。とても信頼できる仲間でしたから。しかも、CDAの受験勉強に1人で取り組むことになります。1次の筆記試験は無事合格できましたが、2次の実技試験・ロールプレイは1人で練習することができません。残念ながら不合格となってしまいました。
 「どうしよう・・」
 何とかしなければという思いで探したのが、mixi(ミクシィ)の勉強会コミュニティです。その中に、資格取得者が受験生の実技試験練習をお手伝いしてくれる勉強会を見つけました。インターネットで知り合った人たちと会うのは少なからず恐怖心を覚えましたが、勇気を振り絞って参加してみると・・なんと優しい人たちばかり。先輩方にいろいろと教えていただくことができました。その方々とは今でもお付き合いをしているほどです。


ファイナンシャルプランナーの資格にも

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 そうして勉強をしながらも、同時並行で就職活動の準備もしていました。
 そのひとつが、職業訓練の受講です。ファイナンシャルプランナーの3ヵ月コース。キャリアカウンセラーになるのであれば、ライフプランマネープランの知識も身につけておく方がいいだろうと考えました。
 また、大学生の就職活動相談をする派遣社員にも応募しました。島根にいる頃から「大学生の支援をしたい」と思っていたからです。なぜかと言うと、雇用・能力開発機構島根センターの職業訓練を受ける若い人たちに、「深く考えずに就職してしまったことで会社を辞めてしまった人」が多かったから。それでも職業訓練を受けに来る人は活路を見い出せますが、そうでない人は誰にも支援されないままになってしまうのではないだろうか。そう想像すると、居ても立ってもいられなかったのです。
 とはいえ、まだCDAに合格していないし、大学生の相談支援をした経験もありません。面接官からもその点を指摘されましたが、「CDAはもうすぐ取れると思います」「大学生の相談対応は経験がありませんが、若年層の支援は前職で経験があります」と自己PRして、働かせていただきました。
 その後まもなくして、CDAの実技試験に合格、2級ファイナンシャルプランニング技能士にも合格し、私のライフラインチャート(※)は上り調子になっていきました。

※縦軸に満足度・充実度、横軸に過去の年齢(時間軸)をとって、自己の内面を探求する曲線のこと。


短期の仕事がきっかけでキャリアカウンセラーに

 CDAとして日本キャリア開発協会(JCDA)に会員登録すると、多くの求人情報がメールされてくるようになりました。そのひとつが、立正大学の就職支援講座の講師募集でした。10日間くらいの短期契約でしたが、まだフルタイムで働ける家庭状況ではありませんでしたので、自分に適していると判断して応募しました。今考えると、これが現在の活動につながったひとつのきっかけになりました。
 立正大学の契約が切れる直前に、同校のキャリアサポートセンターのキャリアカウンセラー枠が、たまたま1人分空いたのです。そんな時、当時の職員の方が「野条さん、働いてみないか」と声をかけてくださいました。そのご縁で、以降はキャリアカウンセラーとして週に3日働かせていただくことになりました。
 このお仕事は今でも続けていて、もう6年目になります。業務内容は、悩みを抱える大学生のキャリアカウンセリングです。1人につき1回40分間、多い時は1日に7人の相談対応をしています。


より多くの学生の力になりたい

 さまざまな学生の悩みを聴いていると、気づくことがいくつかあります。私が強く感じたのは、似たような悩みが多いということです。
 「やりたいことがわからない」
 「職種の探し方がわからない」
 「自己PRが書けない」
 「これまでがんばったことは何もない」
 また、多くの学生がキャリアサポートセンターにきて相談することに不安を感じているようです。「これまでちゃんとやってこなかったのかと怒られるんじゃないか」「添削で厳しく指導されるんじゃないか」と思っているようなのです。
 もちろん、実際にはそんなことはありません。学生が話しやすそうなテーマから話し始め、過去の経験を話してもらいながら、その人らしさとはどんなところか、その人の強みは何かを、一緒に考えていきます。そうして学生が活き活きとした表情を見せてくれるようになったら、自ら進んで就職活動に取り組めるよう支援します。
 しかし、まだまだ相談に来ることができない学生もいるのです。それを想像しているうちに、「より多くの学生の力になれるよう、講師としてキャリアの授業もやりたい」と思うようになりました。


ご縁と自らの働きかけによるもの

 その思いは、大学内の合同企業説明会の様子を見ていて、さらに強くなりました。企業の担当者がせっかく大学に来てくれているのに、学生はもじもじして積極的に動けないのです。その理由について1対1のキャリアカウンセリングの場で聴いてみると、「何をどうすればわからない」ことによる不安が原因のようでした。
 そこで、大学職員の方々とのミーティングで「合同企業説明会の前に、私に話をする時間をください」と訴えました。学生の不安を取り除くようなノウハウを伝えてあげたいという思いからです。ノウハウさえ得られれば、学生はほかの説明会でも積極的になれるはずです。
 幸い、職員のみなさんから機会をいただけることになり、実現することができました。そうしたら、約200人が入る会場で立ち見が出るほどの盛況。やはり、多くの学生に不安があったのだと思います。会社のブースを回る意義や留意すべきポイント、質問の仕方などについて、私なりにわかりやすくお話ししました。おかげさまで、この説明会前のガイダンス講師は今年で3回目を迎えることになりました。
 また、その影響かどうか、この4月からは非常勤講師として前期15コマのキャリアの授業も担当しています。講義の構成も試験も自分で考えています。

 最初は10日間程度の短期だった仕事が、キャリアカウンセラーや教員にまで至ることができたのは、周囲の方々とのご縁と自らの働きかけによるものだと思います。もし、「資格を取ったけれどうまく活用できていない」という方がいらっしゃるなら、ご参考にしていただければ幸いです。

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野条美貴さんのライフラインチャート

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★CDA資格を取り、大学でのキャリアカウンセラーおよび教員として活躍されている野条美貴さん。しかし、野条さんのキャリアストーリーはこれで終わりではありません。実はさらに続くのです。本記事の続きは来月の当コーナーでご紹介いたします。
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