カリキュラムの特徴とCDAの3つの役割

キャリアカウンセラー養成講座開発担当者が語る カリキュラムの特徴とCDAの3つの役割

「キャリア」と聞くと、昔は、仕事に就いて、ひとつの道を登っていくイメージがありました。
キャリアアップという言葉は、まさにそれを表しています。卒業、就職、昇進…その道をはずれることが悪いことのようにさえ感じられました。
しかし、近年、急激な社会変化の影響を受け、就業形態が多様化し、私たちの価値観も変わってきました。今では、自分なりの道を自ら創り出して歩むことこそが「キャリア」だという認識に変わりつつあります。
曲がりくねった道も、自分なりに歩き、時には自分で道を切り開いて進んでいく。その道に自分なりの意味を見つける。それが新しい「キャリア」の考えです。

その考えを基にキャリアカウンセラー養成講座のカリキュラムは編成されています。
企画開発を担当しましたキャリアドック部 水野みち からカリキュラムについてご案内いたします。

講座の3つの特徴

  • 1.カウンセリング強化のための「心のメカニズム」学習プログラムの充実
  • 2.企業の人事担当者も活かせる組織内キャリア開発の視点を新たに追加
  • 3.若年者支援のための最新理論「社会認知的キャリア理論」をフォロー

心のメカニズムを習得し、カウンセリングを強化

通信講座使用教材

▲通信講座使用教材。通信講座ではテキストを中心にキャリアカウンセリングに関する知識や理論を習得。次に通学コースで演習やグループワークを通してCDAとしての必要な能力を身につけます。事例を使ったカウンセリングやアセスメント・ツールを利用して、より実践的に学習します。

キャリアカウンセラー養成講座の最大のポイントは、カウンセリングの強化です。人がどのように成長するのかという「心のメカニズム」を学ぶことで、表面的なスキルのみのカウンセリングに陥らず、支援の本質を身につけることができるプログラムとなりました。技法のみを習得しても、その技法を使う意図やねらいを理解していなければ“うわべ”だけの関わりになってしまいます。心のメカニズムに基づいたクライエントのキャリア形成の効果的な支援方法を学習します。

心のメカニズムは体験的に学んでいく方が理解しやすいため、プログラムではワークをふんだんに使用しています。例えば「防衛」や「枠の広がり」といった心の変化を単に頭で学ぶだけではなく、自分自身が体験してみることで、カウンセリングマインドを短時間で効率よく習得することができるのです。

組織内キャリア開発の視点と若年者支援の最新理論も導入

  • ハリス・ボールズビー博士
  • クルンボルツ博士

ハリス・ボールズビー博士(左)とクルンボルツ博士(右)を含めてCDAを支える4人の理論家の理論もロールプレイングを通して学んでいきます。

通学コースではカウンセリングの強化以外に、さらに2つの点が新しくなりました。
1つは組織内キャリア開発の視点の導入です。これは企業内でのキャリア開発を支援するためのスキルを学ぶもので、人事担当者にとって役立つ内容となっています。
もう1つは、若年者支援の観点から「社会認知的キャリア理論」という最新の理論を追加した点です。これは、自己効力感に関する理論で、何をするにも自信がない=自己効力感の低いフリーターやニートと関わる方にとって1つの方向性となるはずです。また、若年者支援については、職業世界を楽しく学ぶためのカードなど、具体的な支援ツールやノウハウをプログラムの後半に取り入れています。

通学コースでは約30事例のロールプレイングを通して、心のメカニズムや理論、ツールの使い方を習得していきます。実践的な事例の積み重ねは、CDA資格取得後の実践の場において大きな指針となってくれるはずです。

CDAの3つの大きな役割

  • 1.意思決定支援
  • 2.体験の意味づけ支援
  • 3.葛藤を成長に変える支援

100年以上の歴史を持つ「キャリアカウンセリング」

1905年にボストンで初めて職業選択の支援が開始されて以来、「キャリアカウンセリング」はアメリカではすでに100年以上にわたる歴史があり、蓄積データの分析に基づく体系立てられた理論の1つになっています。

日本では2000年にCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格が誕生。翌年には厚生労働省が5万人のキャリア・コンサルタントの養成を打ち出しました。この間、急激な社会変化の影響−就業形態の多様化による選択肢の広がりや、卒業→就職→昇進という従来の道筋が描けなくなったこと、社会や組織を大切にしつつも個人が輝ける社会を作っていこうという国を挙げての動きなどを受けて、CDAの役割もますます変化しつつ、広がってきています。

確実に広がりつつあるCDAの役割

現在、CDAの支援においては、従来の「人と仕事のマッチング」以上に「キャリア形成」という側面が重要になってきています。キャリア形成支援とは、具体的には「体験に自分なりの意味づけをする支援」「葛藤を成長に変える支援」と言えます。ひいては、個人が自律的・主体的に自分のキャリアを切り開いていく力を養うためにお手伝いをすることです。

1.「意思決定を支援する」…どの仕事を優先するか、お昼は何を食べるか、朝何時に起きるか、など、私たちは日々意思決定をしているものです。自分で選んだという実感は自信につながります。しかし、転職・就職・異動・結婚・出産など、キャリア上の大きな決断をするときには、迷いはつきものです。
CDAは、意思決定の手がかりとなる個人の価値観を明確にしたり、アセスメントほか専門ツール等を活用したりすることで、クライエントの意思決定を支援していきます。

2.「体験に自分なりの意味づけをする」…過去の様々な経験を振り返り、その時々の選択や受けた影響などを信頼できる専門家と一緒に振り返ることで、価値観を見直し、自分なりの意味づけをすることができます。経験を整理整頓することで、自分自身がもっとはっきりと見えてきて、今後の方向性も探索しやすくなります。

3.「葛藤を成長に変える」…仕事を通じて感じる苛立ち、悔しさ、もどかしさ、失望、自信喪失といった心の葛藤は大なり小なり誰にでもあるものです。これらの葛藤は、裏を返せば成長意欲やプライドがあるからこそ起こる気持ち。CDAの支援によってはこれを成長のバネに変えることができるのです。

CDAの支援内容は様々な場面において効果的に活用することができます。現在、CDAが求められる場面は、職業紹介場面だけに留まらず、人事、学校教育現場にまで確実に広がりつつあります。

個人による意味づけが「キャリア」をつくります。

水野みち

株式会社日本マンパワー
キャリアドック部 CDA企画課
水野みち

PROFILE●
国際基督教大学卒業後、人材派遣会社に勤務。その後、株式会社日本マンパワーにてキャリアカウンセリング事業の発足、企画開発に携わる。2003年に渡米し、米ペンシルバニア州立大学教育学修士(カウンセリング)取得。在学中は同大学のキャリアカウンセラーとして勤務。現在は株式会社日本マンパワーでキャリアカウンセリング講座の講師指導、プログラム開発を担当。NPO法人日本キャリア開発協会にてキャリア開発の普及と啓発にも努める。CDA、産業カウンセラー、J-APT MBTI認定ユーザー